『カタールのOPEC離脱』

2018年12月 4日

 カタールはアラビア半島の北部にある、ペルシャ湾に面した小国だ。悪い言い方をすれば、アラビア半島の出ベソのようなものであろうか。そのためサウジアラビアは常にカタールに圧力をかけてきている。

 サウジアラビアにしてみれば、カタールは目障りであり、自国領土に飲み込んでしまいたい、と思ってきているのであろう。昨今起こっているサウジアラビアによる、カタールに対する封鎖も、その一つであろうと思われる。

 カタールは世界的な世界のガス産出量の、3分の1のシェアを誇る、ガス産出国として知られているが、石油もつ産出しており、1961年以来、OPECのメンバー国になっていた。それがここに来て、石油には重点を置かず、ガスの開発に専念すると言い出し、来年の1月にはOPECから、離脱することを発表した。

 さて、このカタールのOPECからの離脱は、どんな影響を世界の石油市場に、もたらすのであろうか。カタールの産油量は現在60万バーレル/日と少ない。この産出量はオマーンよりも少ないのだ。

 それに比べ、サウサウジアラビアの産出量は、1000万バーレル/ 日であり、アラブ首長国連邦は、300万バーレル/日だ。これでは石油の産出量だけでは、勝負にならないだろう。しかし、いま世界は石油からガスの時代に、大きく変わりつつある。従って、カタールの将来は極めて有望、ということであろう。トルコのエルドアン大統領はそれを見越して、カタールとの関係を強化しているのであろうか。

 カタールが突然OPECからの、離脱を言い出したのには、多分に政治的問題があるからだ、という推測が専門家の間では、流れている。サウジアラビアとの軋轢が、その原因だというのだ。そのサウジアラビアとトルコとの関係は、カシオギ事件以来、ますます険悪になっている。

 石油市場はほかの原料とは異なり、生産量と消費量(生産と消費)とのバランスによって、価格が決まるのではない。巨大な石油市場をコントロールする市場が、産油国の石油価格を、決定しているのだ。

 そのため、世界の石油市場価格は、ほんの小さい政治、軍事、経済、政府高官の発言などに、左右されているのだ。市場関係者は価格の変動が起こる方が、利益が上がるため、そうした小さな変化を、大きく受け止めて反応するのだ。それが石油価格を決定していると、言っていいだろう。

 従って、少ない産油量ではあるが、カタールがこれからOPECを離脱した後で、打ってくる揺さぶりは、石油価格に大きな影響を、及ぼす可能性が高いということだ。