『シリアIAFの攻撃にS300使わず』

2018年12月 1日

 シリアはイスラエル空軍(IAF)の攻撃に対して応戦し、IAF機を撃墜したと発表したが、シリアの軍部はこれを否定している。私の推測どおり、シリア軍はS300を使用していないということだ。それは今回のイスラエルの攻撃が、ほとんどイランの革命防衛隊基地を、狙ったものだったからであろう。

 今回、シリアでイスラエルのIAFの攻撃を受けたのは、ダマスカスの南東部にあるキスワ、カナークル、アルデマース、ホルファなどであり、これらはイラン革命防衛隊の基地であり、レバノンのヘズブラの基地がある地域、ということだ。

 しかし、シリア政府はダマスカスに近い、キスワへの攻撃では、IAF側に攻撃を加え、撃墜したと言っている。だが、その撃墜された飛行物体が、何なのについては言及していない。いずれにしろ、今回のイスラエル空軍の、攻撃による被害は、極めて限られた範囲のものだった、ということだ。

 他方、ロシアはシリアがイスラエル機を、撃墜したと語っているが、攻撃が夜であったこともあり、レーダーはどの種類の飛行物体が、撃墜されたのかについては、把握できなかったということだ。 

 ダマスカスの近くのキスワでは、イスラエル機を実際に撃墜した、とロシアは語っているが、それで使用された武器は、改良型スカッドであり、S300ではなかったということだ。これ以外にも、カナークルでもイスラエル機が、撃墜されたと語っているが、イスラエル側はこれは事実ではない嘘の情報だ、と否定している。

 どうやら今回のイスラエル軍による、シリア攻撃は大げさに伝えられてはいるが、内容は微々たる被害だった、ということではないか。それは近く、アスタナで開催されるシリア問題会議を、控えているためであろう。

 ロシアとイランはシリアを説得し、国連の方針に沿うようにしよう、と考えている。そうしたシリア、ロシア、イランの思惑が、今回のイスラエルのシリア攻撃に対する、反撃にブレーキを掛けたものと思われる。