『2019年・混沌の国は収まり繁栄の国は崩壊へ』

2018年12月18日

  もうそろそろ、来年の予想を語ってみても、いい時期であろう。来年はエコノミストによれば、暗黒の年ということのようだが、それは先進諸国での話ではないのか。ヨーロッパやアメリカは来年、相当ひどい落ち込みの時期に、入るかもしれない。

 しかし、発展途上国の多くは混沌から、安定に向かっていくのではないか、と思える。ここ数日間インターネットを見ていて、気が付いたことだが、さしたるニュースが、掲載されていないのだ。

アルハヤートというサウジアラビアが、バックにいる主要のアラビア語新聞のサイトにも、トルコの政府寄りのアッサバ―紙にも、これといったニュースが載っていないのだ。

 それはさしたるニュースがない、ということが一因であろう。つまり、簡単な判断を下すならば、中東ではこれといった大きな出来事が、起こっていないということだ。IS(ISIL)に関するニュースは折々登場するが、そのほとんどは小型の特攻テロであったり、路肩爆弾テロといった類のものだ。

 イラクではテロ事件の報道よりも、クルド内部の問題や、イラク政府とクルド自治政府の問題に関する、ニュースが多い様だ。あえて言えば、イラク軍がシリアとの国境地域のIS(ISIL)などを、空爆しているという二ユースぐらいなものだ。

 エジプトでもシナイ半島北部のテロ掃討作戦は進み、だいぶ落ち着いてきているようだ。それはシーシ大統領が軍人出身であり、メンツにかけても抑え込む、ということであろう。

 シリアはと言えば、ほぼ勝負あったという感じが強い、このため、シリアに対しては各国が、戦後の再建や貿易に、乗り出す意欲が強く、シリア政府への接近を図っている。

トルコは『アサド体制を打倒する。』と大騒ぎしていたのだが、この国もそろばん勘定を優先し、『アサドが勝利すれば取引を始める』と本音を吐き始めている。

スーダンのバシール大統領は、戦争の混乱の後、初めてシリアを訪問した、アラブの大統領ということで、脚光を浴びているようだ。これもみな戦後の貿易を考えての、接近であろう。

アラブ湾岸諸国の中ではカタールが、第一番にシリアへの経済援助を打ち出しているが、これはサウジアラビアなど、他のアラブ湾岸諸国に先駆けて、行ったものであろう。同国はガザのハマースに対しても、経済援助を送り、ガザの空港をハマースに任せろ、とイスラエルを説得してもいる。

来年は多分、シリアが落ち着きイラクも落ち着き、エジプトも落ち着くのではないか。反面サウジアラビアやアラブ首長国連邦は、問題が増えるかもしれない。『世はかたまり』ということであろうか。