トルコのサウジアラビア領事館で、カシオギが殺害されて以後、初の外遊をムハンマド・ビン・サルマン皇太子は始めた。友好関係にあるUAEやバハレーンに加え、エジプトを訪問したが、エジプト側はシーシ大統領が空港に出迎えるという、大歓迎ぶりを示した。
当然のことながら、シーシ大統領とムハンマド・ビン・サルマン皇太子との会談では、両国の関係強化と経済協力が話し合われ、経済関係を拡大することが、決められた。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪問団には、大型のサウジアラビア経済代表団も同行しており、種々の経済協力が話し合われている。これは具体的なビジネスの話が、まとまりやすいのではないか。
これとは異なり、チュニジアでは国民による、反対デモが始まっている。チュニジアは政府がナハダ党という、イスラム政党の政権であり、ナハダ党はムスリム同胞団と、兄弟関係にある政党だ。
サウジアラビアはカタールとは異なり、ムスリム同胞団を危険なテロ組織、とみなしている。そのため、チュニジア政府とサウジアラビア政府との関係は、敵対関係にあるということであり、このために、国民のムハンマド・ビン・サルマン皇太子を歓迎しないデモは、政府も黙認するということであろう。
これらのアラブ歴訪の後、ムハンマド・ビン・サルマンサルマン皇太子は、G20に参加することになるが、アルゼンチンの人権団体などは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が入国したら、逮捕すべきだと強硬な意見を、述べている。
G20にはエルドアン大統領も出席するわけであり、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子との会談が、予測されている。このことについて、エルドアン大統領は『希望するなら会わないこともない。』ともったいぶった意見を述べている。
エルドアン大統領は本音では早く会いたい、ということであろうから、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子との会談は、多分確実に行われることになろう。サウジアラビア側がその場で、トルコ側にどれだけの、経済メリットを提示するかが、今後のトルコ・サウジアラビア関係を決めよう。
他方、アメリカはクシュネルを動かし、サウジアラビアに1100億ドルの武器購入を、迫らせるつもりでいるようだ。つまりムハンマド・ビン・サルマン皇太子の外遊は、外遊と言えるような暢気なものではなく、厳しい要求が出てくる、ということであろう。