『緩み始めたトルコのサウジアラビア締め付け』

2018年11月24日

  どうやら、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルルマン皇太子は、無罪放免となりそうな気配になってきた。この事件では、アメリカのトランプ大統領が始めから、やる気が無かったのだから、仕方の無いことかもしれない。

 トルコのエルドアン大統領は沢山の証拠を手にしており、それをアメリカなど主要5カ国に送ったのだが、どうも反応は良くなかった。誰も大金持ちのサウジアラビアと、関係を悪くしたいとは、望んでいないからであろう。

 エルドアン大統領はトランプ大統領に対して、カシオギ問題への取り組みに真剣でない、と文句を言ってみたが、それも効果は無かった。金持ちは裁かれないのか、という雰囲気が国際的に、広まっているのだが。

 カナダ、フィンランド、ノルウエー、デンマークなどは、サウジアラビアに対する武器輸出を止めると言ったが、それも時間が経過すれば、解除されるだろう。アメリカは『アメリカの利益が第一』と語り、サウジアラビアとの経済関係を、止める意志は始めから無かった。

 こうした流れを見ていて、エルドアン大統領は『正義の騎士』の役割を、終えていいと判断したのかもしれない。G20日会議でムハンマド・ビン・サルマン皇太子とエルドアン大統領が、会談する見込みになってきている。

 その場で、エルドアン大統領はムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対して、お前はカシオギ殺害の真犯人だ、と詰め寄るとは到底思えない。二人は握手を交わし、微笑を交わして、トルコ・サウジアラビア関係は、正常化するのであろうか。

 一連の流れの中では、サウジアラビアが自国のイメージを良くしようとして、幾つかのことを決めた。イエメン停戦と戦争被災者への援助、ガザへの援助といったものだ。また、サウジアラビアが中心になって行っている、カタール・ボイコットも解除されるだろう、と言われていた。

 しかし、この段階になり、どうもサウジアラビアはカタールに対する、締め付けを緩めないだろう、という予想が出てきている。それは、サウジアラビアが今回のカシオギ事件で、真犯人(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子)の追求は終わった、と判断したからではないか。

 そうだとすれば、他の案件も同様に、元の状態に戻るかもしれない。つまり、イエメン戦争は今後も継続されるし、イランに対する敵対関係も、続くということだ。そうなれば、アメリカの武器は継続して、サウジアラビアに輸出できる、ということであろう。