『トルコがアメリカのカシオギ対応非難』

2018年11月22日

 トルコ政府がアメリカのカシオギ問題への、対応を非難している。簡単に言ってしまえば、アメリカは早くカシオギ殺害の真犯人は、ムハンマ・ビン・スルタン皇太子だと発表しろ、ということだ。

 しかし、そのことは十分わかっていても、商売人あがりのトランプ大統領としては、そうしたくない。出来るだけ少ない批判のうちに、この問題のファイルを閉じたい、と考えている。

 トランプ大統領にとっては、人道主義だとか人権、法の前の公正というよりも、金儲けが中心なのだ。膨大な量の武器を、アメリカから買うサウジアラビアは、最高の顧客なのだ。

 だが、このトランプ大統領のスタンスに対しては、民主党だけではなく、彼の出身党である、共和党内部からも非難の声が、高まってきている。そうなると、トランプ大統領は商売第一主義(アメリカ第一主義)ばかりを、主張しているわけにはいくまい。

 トランプ大統領のこざかしい、金儲け路線をぶち壊すために、エルドアン大統領はアメリカ議会議員と、連携するかもしれない。アメリカには貧乏なトランプ支持者ばかりではない。元々のエリート層がいるのだ。

 エルドアン大統領の作戦は、早急にムハンマド・ビン・サルマン皇太子を殺人の首班とするか、それが不可能なら、出来るだけ結論を長引かせ、世界のマスコミを引き付けるために、トルコが持っている、事件の情報を小出しにしていく、ということであろう。

 若し長期戦がうまくいけば、トランプ大統領の国際的、かつ国内的評価は下がり、次の大統領選挙には参戦できまい。同時に、それはサウジアラビアの王政を追い込み、サウジアラビアは世界のイスラム教の中心、イスラムの指導者としての立場を、はぎ取られるかもしれない。

 そうなれば、トルコはオスマン帝国の後衛として、イスラム世界の主導国に復帰することが、出来るかもしれない。その場合、エルドアン大統領は世界のイスラム教徒の、指導者になれるということだ。

 アメリカにおだてられ、脅され、偽情報をつかまされて、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が実行した殺人は、結果として、サウジアラビア王国の存亡にかかわる、問題になってしまったのだ。