来年のことを言うと鬼が笑うそうだが、来年の春に予定されている、イスラエルの選挙について、大胆な予測を書いてみることにした。
来年の選挙では国防大臣を辞任した、リーベルマンが頭角を現してきて、首相に座るのではないか、と思っている。いままで、強硬派の一人とされてきていたリーベルマン氏が、実は穏健派だというのだ。そのことを口にしたのは、公共治安相のギラド・エルダン氏だ。
ギラド・エルダン氏の語るところによれば、リーベルマン国防相はガザに対する、強硬対応に反対し、ハマースとは話し合いで、緊張緩和を図ろうとしていた、ということのようだ。キプロスとガザとの港開港についても、リーベルマンは支持していた、というのだ。
来年の選挙は春に予定されているようだが、この選挙に先立ち、リーベルマン国防相がネタニヤフ首相が決めたハマースとの、停戦に腹を立て辞任したのだ。そのリーベルマン国防相の判断は、ある意味では、正しい判断だったのではないか。
ハマースとイスラエル軍が、激戦を交わしている中で、ネタニヤフ首相が停戦を決めるということは、ハマースが戦いに勝利したというイメージを、創り出してしまうからだ。
このリーベルマン国防相の判断を、支持した二人の閣僚も、辞任する方向にあるようだ。その二人とは、ベネット教育相とアエレト・シャケド法務相だ。ナフタリ・ベネット教育相は国防相に、移動するかもしれないのだが、それが決まらなければ、辞任するということであろうか。
イスラエルという国と国民性は、常に、強度の対外不信と、恐怖に駆られている。そのために強硬な意見は、支持されやすいのだ。リーベルマン国防相が強硬な意見を、述べ続けてきたのは、このためであったのではないのか。しかし、実際のリーベルマンは、いたって理知的であり、冷静な考えを持っていた、ということであろう。
現在のイスラエルは国際政治でも、国内政治でも、極めて難しい状況にあるようだ。そのことは、ネタニヤフ首相も十分わかっており、選挙をこの時期に行うことは危険だ、と言っているのであろう。
彼に言わせれば、イスラエル国民の意見を一致させなければ、外敵と戦えないということであろう。それは表向きの話であり、実はいまネタニヤフ首相は、ドイツから輸入した潜水艦の取引で、収賄疑惑が出てきており、首相の座を離れることは、極めて危険であろう。彼自身の立場を考えれば、当然そうであろう。