アメリカはトルコとの関係で、難しい局面に立たされている。それは、アメリカが活用しているクルドの戦闘員を、今後どう扱うか、という問題だ。アメリカとすれば、出来るだけクルドの戦闘員を使い、自国の兵士を犠牲にしたくない、ということであろう。
しかし、そのクルドの戦闘員というのは、YPGやSDFだけではなく、PKKも含まれている、というのが現状だ。PKKはトルコにとっては仇敵であり、これまでにPKKによって4万人のトルコ国民が、殺害されているのだ。
こうしたこともあり、アメリカもPKKについては、テロリスト集団と認めている。しかし、そうは言っても背に腹は、代えられないのであろうか。アメリカはPKKの戦闘員が、YPGと連携して戦闘に参加していることを、黙認しているのだ。
こうなると、YPGやSDFに対する対応も、厳しくせざるを得ない。トルコはユーフラテス川の東側に陣取る、YPGやSDF,PKKを掃討する作戦を立て、一部は実行されている。例えば、アイン・アルアラブ、ジャラブルス、アル・バーブ、アッラーイなどは、その結果、トルコ軍が解放した街だ。こうしたトルコ軍の作戦には、FSAが協力している。
アメリカはこれまで、IS(ISIL)の掃討には、クルド戦闘員との協調が必要だとして、それを口実にしてきていたのだ。もちろん、その目的に沿って、相当量の武器が、YPGに供与されてもいる。
マンビジュについても然りであり、トルコはこれまで、アメリカとの合意が生まれたにもかかわらず、実行が遅れている、と苦言を呈し続けてきていた。最近になって、アメリカ・トルコ合同軍のパトロ-ルが、先週木曜日に、やっと実施されるに至っている。
マンビジュとイドリブについては、トルコの副外務大臣がもっぱらアメリカとの交渉に、当たっているし、11月半ばに予定されている、エルドアン大統領の訪仏後には、エルドアン大統領とトランプ大統領が、この問題について協議する、予定になっている。
アメリカはトルコを選び、YPGやPKK、SDFを切り捨てるのか、あるいは、両方をコントロール出来ると思っているのか、判断が難しい。アメリカ自身にとっても、その判断は相当困難なものだと思われる。