中東各国でIS(ISIL)への攻勢や、警戒情報が飛び交っている。これは、あるいはIS(ISIL)が相当、追い込まれていることを、表しているのかもしれない。だからこそ、各国は最後の詰めを、きっちりとしたい、ということなのであろうか。
まず、最初はイラク軍が北イラクで、IS(ISIL)を追い詰め15人を殺害した、というニュースだ。これはイラク北部のスンニー派居住区、サラーハデーンでトンネルに隠れていたIS(ISIL)
が、追い詰められ殺されたという話だ。イラクは一時期、国土の3分の1をIS(ISIL)に占領されていたが、その後奪還することに成功した。
しかし、今でもIS(ISIL)は攻撃を継続しており、襲撃や暗殺、人質、爆弾テロなどを続けているということだ。そのために、今回は徹底的な捜査が行われ、トンネルに隠れていた者たちも、殺されたということだ。
イタリアではIS(ISIL)支援者とされる者が、逮捕されている。これは各国間の情報交換の結果であろう。各国はIS(ISIL)撲滅のために、持てる情報を提供しあい、彼らの行動に関する情報も提供し、逮捕しやすい場所で逮捕する、ということであろう。
エジプトでは北シナイにいるIS(ISIL)への、掃討作戦が実施されたが、それはエルアリーシュ市の近郊であった。7人のIS(ISIL)戦闘員が隠れ家を急襲されて、撃ち合いとなり射殺され、5人は逃亡を図り、これも射殺された。
トルコからもIS(ISIL)に関する報道があった。これはIS(ISIL)やアルカーイダの戦闘員が相当数、現在でもトルコ国内に居住しており、将来の作戦に備えている、という趣旨のものであった。
この報道では、トルコのMIT(情報部)がイスラム原理主義テロリストをかばい、各種の便宜供与も行ってきた結果だ、ということだ。その報道によれば、トルコのMITはIS(ISIL)やアルカーイダなどを、スパイ要員として、使っていたためだ。
このIS(ISIL)やアルカーイダなど、イスラム原理主義テロリストとトルコ政府との関係は、エルドアン政権が誕生して以来の、ものだということだ。エルドアン大統領が首相に就任した2002年11月以来、エルドアン大統領はIS(ISIL)やアルカーイダをイスラム主義者として、擁護してきたというのだ。それは述べるまでも無く、エルドアン大統領もイスラム主義者だからだ。
このイスラム主義者テロ組織は、トルコ国内に慈善団体や、イスラム団体を結成し、それが政府によって暗黙に認められて、活動してきていた。トルコのMITは彼らに対し武器を供与し、資金を与え、彼らがリクルートした戦闘員の、イラクやシリア侵入を支援してもいた。その事が時折マスコミによって、報じられてもいる。
こうしたことから、IS(ISIL)やアルカーイダのメンバーは、トルコ国内で自由に活動していたわけだ。彼らは『警察に捕まっても何の心配も無い。彼らは我々を擁護する立場にあるのだから。』とうそぶいていたということだ。
結果的に、トルコは彼らの重要な拠点となっており、そこからIS(ISIL)やアルカーイダの世界展開作戦が、進められているということだ。それは、アフリカではカメルーンやウガンダであり、アジアではミャンマーやバングラデッシュなどが中心となっている。
このトルコにおけるIS(ISIL)やアルカーイダの、活動に関する情報は、比較的厚みのあるのだったが、それ以外は短いものだ。それはやはり彼らの活動が、縮小してきていることを、表わしているのであろう。