突然の、ネタニヤフ首相によるオマーン訪問は、何が目的であったのか、ということが問題になっている。表面的には中東和平に、オマーンが協力してくれるよう、ネタニヤフ首相がオマーンのスルタン・カーブース国王に、依頼したということになってはいるのだが。中東和平への協力については、スルタン・カーブース国王はその気が無い、と断っているようだ。
それでは何が目的であったのであろうか。イスラエルにとっていま一番頭の痛い問題は、ガザからのロケット攻撃を、どうしたら止められるか、ということであろう。先日は一日に30発ものロケットが、打ち込まれるのだから、油断していられないし、イスラエル国民にとっては、大きな不安となっていよう。
このガザからの激しいロケット攻撃が、何故起こるのかについては、実はイランが相当ガザ問題に、首を突っ込んでおり、ガザのハマースやイスラム・ジハードに、支援を送っているからだ。
ロケットやミサイルの部品を送り、製造方法を教え、シリアにいるイラン革命防衛隊は、工場の建設まで支援していえるといわれている。そして、それはガザだけではなく、レバノンのヘズブラや、シリア政府に対しても、進められているのだ。
つまり、いまイスラエルはレバノンとシリア、そしてガザに建設される、ロケットやミサイルの工場から、生み出される武器を相手に、戦わなければならないということだ。一ランはそうすることによって、イスラム革命の三日月地帯を、建設しようと思っているということだ。
三日月帯とは、イラクに始まりシリア、レバノンを、イランの強い影響下に置くということだ。その結果、イランはイランからイラク、シリア、レバノンに通じる道路と、地域を支配し、地中海にまで抜けられることになる。
その事は、イスラエルだけではなく、アメリカにとっても中東支配のうえで、大きな障害になる。それでアメリカはシリアに駐留する、イラン革命防衛隊を殲滅したい、と考えているのだ。このため、アメリカ軍はイラン革命防衛隊に、シリアから出て行くよう、再三に渡って警告しているのだ。
このイラン革命防衛隊とレバノンのヘズブラ、ガザのハマースとの関係は、強固なものだ。ハマースは何百万ドルもの現金を、イラン政府から受け取っているし、イスラム・ジハードもイラン革命防衛隊から、現金を受け取っている。イスラム・ジハードは今年の8月には、3000万ドルの支援を受けたということだ。
ネタニヤフ首相のオマーン訪問は、オマーンがイランと関係のいい、例外的なアラブの国であることから、イランとの仲介を依頼したのではないか。もちろ、それはイランによるハマースや、イスラム・ジハードに対する支援を、止めるためだ。