トルコ・リラは8月の一時期、1ドルに対して7.22リラまで下がった。まさに大暴落ということであろう。その後、アメリカのブランソン牧師の釈放もあり、トルコ・アメリカ関係に改善が見られ、今では5.59リラまで戻している。それでも今年初頭には、1ドルに対して、4リラ程度であったことを考えると、リラ安が続いているということであろう。
トルコの反体制派マスコミが、トルコ・リラの暴落を予測する根拠は、トルコの金利が異常に高いことに、あるということだ。トルコの金利はいま、中央銀行が決めているレートは、24パーセントと高い。
他方、トルコのインフレ率は銀行金利と同じように、24パーセント台に上がっている。銀行金利が24パーセントでインフレ率が24.5パーセントでは、高い銀行金利の設定で、経済へのプラス効果は生まれない、ということのようだ。
この高金利政策は、エルドアン大統領の判断に、よるものだ。エルドアン大統領は裁判所も中央銀行も、独自の決定権を持つ、とは言っているが、実際にはエルドアン大統領の独断決定による、独裁的なものとなっているのだ。
エルドアン大統領が高金利政策を、決定した裏には、外資を呼び込むことが目的のようだが、その効果はどの程度出てくるのか、その決定によるマイナス効果は、どうなのかということを、考えなければなるまい。
述べるまでも無く、この24パーセントという銀行金利の高さは、経済のスピードを落とすことに繋がるということは、誰にも分かろう。言ってみれば、企業家たちにとっては、銀行金利の高さとインフレの高さで、往復びんたを、食らっているようなものであろう。
そして庶民は、高インフレと高金利とにより、輸入価格が急騰し、物価高が起こり、企業は経営難から、倒産する企業が増え、失業率が上がってもいる。それを何とかしなくては、エルドアン人気に陰りが出てくる、ということであり、エルドアン大統領は今後も、その時々の思いつきで、金利の変更を行うのではないのか。
トルコの企業経営者や庶民にとっては、たまったものではあるまい。