何事も幸と不幸を呼ぶのであろうか。カシオギ事件が起こってから、中東諸国の関係に大きな変化が、起こっているようだ。第一には、トルコとアメリカの関係に改善の兆しが、はっきりと見えてきている。
CIAの女性長官がトルコを訪問し、カシオギ虐殺の音声テープを聞き、トルコ側の説明を受けた。もちろん、それだからと言って、トルコ側がアメリカに対して、全てを明かしたとは思えない。
トルコにとってカシオギ事件は、ドル箱のネタなのだから、情報を小出しにしながら、サウジアラビアにねちねちと、圧力をかけることは見え見えだ。アメリカもしかりで、トルコからできるだけ多くの情報を、引き出したいと思っていよう。アメリカもトルコと同様に、サウジアラビアに圧力をかけるということであろう。
サウジアラビアはアメリカにとって、最大の武器輸入国であり、今回の事件を機に、アメリカは相当の武器が、サウジアラビアに売れる、と目論んでいるのであろう。
従って、アメリカは当分の間、トルコの言うことを受け入れる、ということだ。もしかしたら、これまで焦げ付いてきたシリアのマンビジュでも、アメリカ側はトルコに妥協するかもしれない。もちろん、それは相当限られた範囲のものに、なるだろうが。
ヨルダンはここに来てトルコ、カタール、オマーンなどとの関係促進を、語り始めている。元々はサウジアラビアがメイン・スポンサーの国であり、サウジアラビアの援助無くしては、成り立たない国家財政だったのだ。
それがここに来て、サウジアラビアからカタールに、転向するということは、今後のサウジアラビア情勢に、大きな変化が起こるということかもしれない。これは要注意であろう。
イランがサウジアラビアの事件に対する評価で、「サウジアラビア一国では出来ない、裏に特定の国家の支援があるはずだ。』と言い出したのは、暗にアメリカが首犯だ、ということを、言いたいのではないのか。ここでも犬猿の仲だった、イランとサウジアラビアとの接近がみられる。
主役のサウジアラビアもしかりであり、突然カタールとの良好な関係を口にし始めている。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太が、砂漠のダボス会議で、『カタールの経済は堅調だ。』と積極的な評価をす発言をしたのだ。
トルコとカタールはカシオギ事件で、サウジアラビアに対し圧力をかけているわけだが、サウジアラビアのカタールに対する制裁は、近い将来終わるかもしれない。そうなれにはトルコは大喜びであり、カタール・ブームが起ころう。