『イランのカシオギ事件に対する異論』

2018年10月25日

 

イランのロウハーニ大統領が極めて変わった意見を、述べ始めている。彼曰く『カシオギ暗殺はサウジアラビア単独では出来ない。』と言ったのだ。述べるまでもなく、イランとサウジアラビアとの関係は、いま劣悪なのだが、このロウハーニ大統領の発言は、あたかもサウジアラビアは、カシオギ暗殺について白であり、黒幕はアメリカだと言っているようなものだ。

 イランの考えでは、サウジアラビアには単独で、カシオギを暗殺する能力は無い。あの暗殺は非常によく計画されており、実行されたものだというのだ。誰がそれを命令し、いかにそれが準備され、誰がそれを実行したのか。

 そしてカシオギ殺しは、極めて残酷であり、アルカーイダの分派であるヌスラや、IS(ISIL)などの犯行に、極似しているというのだ。サウジアラビアはアメリカによって、守られている中でこの犯行を行った、ということであろう。

 そう言われてみれば、犯行は確かに極めてスピーデイに、手際よく行なわれているし、犯人たちは犯行後、素早く現場から立ち去り、サウジアラビアに戻っている。なにやら暗殺犯たちは殺しのプロ、というイメージがする。しかも、犯行は極めて冷血であり、人間味を感じさせない。

 それでは。その犯人たちが何故、解体用ののこぎりなどを、これ見よがしに、持ち込んだのであろうか。それはIS(ISIL)やヌスラがやった殺害と、同じ恐怖を抱かせる行為であった、ということであろう。

 真実は時間の経過とともに、明らかになって来ようが、いまは軽々に判断すべきではなかろう。しかし、そうした意見もあることを、忘れてはなるまい。この事件が起こリ、1週間ほどした段階では、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子に、カシオギの暗殺を助言したのは、トランプ大統領の義理の息子、クシュネルだった、という情報もある。

 事件が明るみに出た段階では、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が「欧米は何故カシオギ殺害で、こんなに騒いでいるのか?』とクシュネルに尋ねた、ということのようだ。

 カシオギはイギリスでは、ダイアナ妃のボーイフレンドのドデイと、親戚関係にあったことから、ダイアナ妃の死亡について、事情を詳しく知っており、サウジアラビアの情報トップと、親しかったことから、アメリカで起こった911について、よく知っており、サウジラビアについては、ウサーマ・ビン・ラーデンと親しかった人物だ。

 従って、彼が考えるには、カシオギ殺害は欧米からもサウジアラビアからも、内心では歓迎されるはずだった、ということであったのであろう。いずれにしろ、事実は不明、この先、真実が出てくるのか、あるいは途中で、話は立ち消えになるのか分らない。