『ヨルダンがイスラエル関係改変、トルコ・カタール・シリアと改善』

2018年10月22日

突然、ヨルダンの国王がイスラエルとの、和平条約の一部を、改変する動きに出ている。それは、ヨルダンが和平条約締結時に決めた、ヨルダン領土の一部をイスラエルに貸与する、ということについて、返還を求めるというものだ。
そのこと自体が大きな驚きなのだが、なぜ今の時期にその話が出て来たのか、ということがもう一つの驚きだ。1970
年のブラック・セプテンバー事件(パレスチナのファタハ組織がヨルダンの王家を攻撃し、打倒しようとした、いわばクーデター)の折、ヨルダンの王家を守ったのは、イスラエル軍だったのだ。つまり、ヨルダンにとってイスラエルは、最も信頼できる国家だった。
もう一つの驚くべき変化は、ヨルダンのアブドッラー国王の発言から分ったのだが、ヨルダンはトルコ、カタール、シリアとの関係を、改善していく方向に切り替えた、ということだ。
ヨルダンはこれまで、サウジアラビアの経済援助を受けて、成り立っていたのだが、そのサウジアラビアが敵対している、カタールと関係を改善していくということは、サウジアラビアに背を向けることになる。
サウジアラビアがカシオギ問題で、世界的に孤立する方向にある中で、今回のヨルダン国王の対外関係変更は、少なからぬショックを、サウジアラビア王家に、与えるものと思われる。
また、トルコはそのサウジアラビアのカシオギ問題で、サウジアラビア王家の首根っこを掴んだ形になっている。全てのカシオギ暗殺事件の情報はいま、トルコの手中にあるのだ。
これらの疑問は今後の中東世界の政治、行く末を決めていく、キー・ワードではないのか。色々推測できるが、あまり推測を膨らませれば、単なるほら吹きと言われかねないので、この辺でやめておこう。