『サウジアラビアがアルカテイーフでも住民攻撃』

2018年10月18日

 これだけカシオギ虐殺問題が、世界中で騒がれているにも関わらず、サウジアラビア政府は何の反省も、していないのであろう。力による、同国のシーア派住民に対する、弾圧を継続している。サウジアラビアの首都リヤドから、420キロ東にある、ペルシャ湾岸のアルカテイーフ地域で、シーア派住民を追い込んでいるのだ。

 つい最近も、アルカテイーフの住民に対して、サウジアラビアの警察軍が攻撃を加えた。彼らはグラネード攻撃、催涙弾攻撃に加え、実弾での攻撃も行った。このため一人の女性が銃弾を受け、負傷するのだが、親戚たちが彼女を近くの病院に担ぎ込むと、警察軍が病院への立ち入りを、30分に渡り阻止したようだ。

アルカテイーフの近くの、バーブ・アッシャマールでも同様の攻撃が、起こっている。サウジアラビアは少数派の、シーア派に対する攻撃では、容赦しないのが普通のようだ。サウジアラビア人の多くは、彼らのスンニー派とは異なる、シーア派信者をイスラム教徒とは、見なしておらず、毛嫌いしているのだ。

 シーア派に対する政府による差別は酷く、公務員への就職でも、不採用になるのが普通のようだ。以前、日本に留学していたシーア派のサウジアラビア人学生は、日本で学んだ後は、アメリカに渡りそこで勉強して、永住するつもりであり、サウジアラビアに帰国するつもりは無い、と言っていた。

それはもう30年ほど前の話だが、基本的には今でも、サウジアラビアのシーア派住民の立場に、改善は見られないのだ。いまだに経済的差別、宗教的差別、表現の自由が、規制されているのだ。

こうしたことから、アルカテイーフの住民は2011年から、平和的な抗議デモ行ってきているが、その流れの中で、シーア派の宗教学者であり指導者でもある、シェイク・ニムル・バーキル・ニムル師が処刑されている。

 カシオギ氏はスンニー派のいわば、サウジアラビア社会のエリート層の出身だったが、彼は反政府ということで、今回虐殺されるに至った。しかし、シーア派の場合は集団で弾圧が加えられ、それは10年の長きに及んでいるのだ。もちろん、それ以前からも彼らに対する、差別や弾圧はあったのだ。

 アルカテイーフ地域はサウジアラビアの主要な産油地域であるが、シーア派住民は全くその恩恵に、預かっていないのだ。一時期、アメリカはこの地域を、サウジアラビアから分離させ、新たな首長国を創設する、という情報が流れたことがあるが、その後その話はどうなったのであろうか。

 イスラム教の宗派の違い、石油の産出地といったことが、ますますサウジアラビア政府に、アルカテイーフ地域のシーア派住民に対する敵意を、抱かせているのであろう。