サウジアラビアのジャーナリストである、ジャマール・カシオギ氏の殺害をめぐり、種々の推測が飛び交っている。推測と書いたのは述べるまでも無く、いまマスコミに登場する種々の情報は、具体的な根拠を示していないからだ。
ほとんどは、トルコ政府から出てきた、断片的な情報を繋ぎ合わせ、それを推測し、膨らましたものではないのか。もちろん、トルコ政府から漏れてきた、情報のなかには幾つもの真実が、含まれていようが、残念ながら現段階では、その次の作業は推測に過ぎない。しかるべき根拠を示していないのだ。
そうしたなかで、いま話題になっているのは、ジャマール・カシオギ氏が使用していたといわれる、アップル社製の携帯時計だ。この時計は優れもので、殺人現場の様子が全て記録されている、ということであり、トルコ側はこの時計が出てくれば、おおよそのことが分かるということのようだ。
しかし、その事に気が付いたサウジアラビアの暗殺者たちは、携帯電話に記録された多くの部分を、抹消したはずだといわれている。それが事実かどうかは分からないが、もし、サウジアラビアの暗殺団が携帯電話について、気が付いていれば、当然そうしただろうと思われる。
ただ、そのような場合に果たして、その携帯電話は破壊もされず、持ち去られてもいないのであろうか。どうも納得がいかないのだが。私が暗殺団のメンバーであれば、当然その携帯時計は破壊し、しかも持ち去っていよう。情報の一部が消えているということは、トルコ側が情報収集の段階で、盗聴していたものが、途中で消えているからではないのか。
トルコ側はサウジアラビアの、正式な事件調査団に対して、この携帯時計の提示を求めるのであろうか。その場合、サウジアラビア側は素直にそれに、従うのであろうか。どうも納得の行かない話だ。
トルコ側がアップル社の、携帯電話の話を持ち出し、その性能のすごさについて、言及しているのは、もっと重要な情報を、隠すためではないのか。既に書いたが、トルコ政府はイスタンブールの、サウジアラビア領事館内に、幾つもの盗聴マイクとカメラを、設置していたはずだ。
友好国であり経済的に重要な、サウジアラビアの領事館に、トルコ政府が盗聴マイクや、カメラを設置していたということがばれれば、両国関係は複雑なものに、なっていこう。だからトルコ政府はその事を、隠す必要があったと思われる。
そのために持ち出されたのが、アップル社の携帯電話の話ではないのか。しかも、その携帯電話は優れものであり、云々となると、世界の多くの人達が納得するだろう。