『カシオギ問題拡大と疑問』

2018年10月11日

 事が世界最大の産油国、サウジアラビアに絡む問題なだけに、世界のカシオギ問題に対する関心は、拡大している、彼は実際にイスタンブールの、サウジアラビア領事館で殺されたのか、あるいは捕まって生きたまま、何処かに連れ去られたのか。

 カシオギ氏がサウジアラビア領事館の中で、拷問を受け、その後殺害され、細切れにされた、といったおぞましい情報もある。しかし、常識では果たしてそんなことが、領事館内で行われるものであろうか。

 カシオギ氏がアメリカに居住する、ジャーナリストであったことから、アメリカ政府もこの事件には、ことさらの関心を、寄せているようであり、ポンペオ国務長官はサウジアラビアの、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子と、電話で話し合ったようだ。

 イランなどの情報によれば、今回の殺害事件()はサルマン国王の、じきじきの命令によるものだ、ということだ。それは、トルコの情報関係者からの情報としており、イランが直接判断したものではない、形になっている。

 しかし、トルコではマスコミが、サウジアラビアが派遣したといわれる、プロの暗殺集団15人の、写真を公開して、既に、サウジアラビア政府による犯行、と断定しているようだ。当然のことながら、エルドアン大統領はサウジアラビアに対して、事情説明を迫っている。

 今回の事件で不思議だったことは、アメリカのFBIがカシオギ氏の暗殺を、サウジアラビアに対する電話盗聴で、事件が起こる前に、掴んでいたということだ。しかし、そのことはカシオギ氏には、伝えられていなかったのであろう。

 もう一つ腑に落ちないことは、アメリカが今回の出来事を、喜んでいるということだ。確かにそう言われてみれば、アメリカとサウジアラビアとの間には、幾つもの問題が横たわっている。

 アメリカはサウジアラビアに、防衛費を出せと迫り、それに対して、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は払わない、と言っている。両者の舌鋒は相当鋭いということだ。アメリカはサウジアラビアに対して、石油の増産も迫っている。そうした幾つもの問題を抱えている中で、今回の事件が起こったことは、アメリカをしてサウジ王家を、追い込める口実が、出来たのであろうか。

 もし、今回、実際にカシオギ氏が殺害されており、しかも、それがサウジアラビア領事館で起こっていれば、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子もサルマン国王も、殺害の責任を問われることになろう。

 無責任な言い方が許されれば、今回のカシオギ事件はいろいろなことが、想定できるだけに、実に興味深いものであろう。例えば、カシオギ事件はアメリカがサウド王家を、潰す為に仕組んだものであったとか??