『エルドアン大統領の正論IMFは必要ない』

2018年10月 8日

 トルコのエルドアン大統領が久しぶりに、正論を述べている。これは賞賛に値する。彼はCHPなどが主張する、トルコの金融危機で、IMFから資金を借り入れるべきだ、と主張したが、その必要は無いとして、CHPなどの意見を押さえ込んだのだ。

 IMFからの借り入れは容易なのであろうか、資金難に陥った国が、IMFから資金を借り入れ、最後には返済が不可能になる、というケースが多かったように記憶する。IMFは資金を貸すだけではなく、幾つのも経済改革案なるものを、その借りた相手国に、実施するように要求してくるのだ。

 そのために、借り入れ国の経済は悪化し、遂には首が回らなくなってしまうケースが、多いようだ。以前、日銀の幹部だった某氏が、IMFの金を借りることは、国を滅ぼすことに繋がる、と言っていたがそうなのであろう。

 エルドアン大統領はそのようなアドバイスを、誰かからか聞いていたのであろうか。あるいはトルコが以前踏んだ轍を、繰り返さないということが、そうさせたのであろうか。エルドアン大統領は、第4代大統領に就任した、クーデターの首謀者だったジャマール・ギュルセルの、失敗を例に挙げている。

 エルドアン大統領は『我々が権力を握ったとき、トルコには235億ドルの債務があったが、それを返済し終わっている。我々は我々の国トルコを、IMFから守ったのだ。』と主張した。エルドアン大統領はCHPの政策が、いかに危険なものであるかを、強調したということだ。

 同様に、IMF問題を抱えている国はエジプトだが、エジプトの場合は安易に、IMFの資金を借り受け入れている。その結果、公共料金の値上げや税金の引き上げ、食品を含む基礎消費物資などの、値上げがIMFから要求され、それを実行している。

 当然その事は、エジプト国民の生活をぎりぎりのレベルまで、追い込んでいるのだ。最近、エジプト政府がガスなど、地下資源の開発合意を、ヨーロッパ企業と交わしているのも、その一環であろうか。

 エルドアン大統領はやはり、CHPなどの主張する経済政策への、マッキンゼーのコンサルタント・サービスの受け入れについて、きっぱりと拒否している。マッキンゼー社のアドバイスは何の効果も無い、ということなのであろう。

 アラブでは次のようなジョークが語られていた時期がある、『マッキンゼーのセールスマンが羊飼いのところに来て、アドバイスすると言うと、羊飼いの老人は私がいま何頭の羊を、持っているか正確に答えたら、羊を一頭やろうと答えた。するとマッキンゼーのセールスマンは本部に連絡し、衛星で羊の数を確認し、それを羊飼いの老人に伝えた。すると羊飼いの老人は、老いて使えなくなった犬を、ヒツジだと言って彼に渡し、セールスマンは喜んで持ち帰った、』という話だ。