『アメリカのイラン追い込みは失敗』

2018年9月26日

 アメリカのトランプ大統領は、イランの石油を買わないよう、世界に働きかけ、各種の制裁も決めていた。その結果、イランが経済的に追い込まれれば、最後にはアメリカに対して、イランが白旗を上げる、と考えていたようだ。

しかし、意外な伏兵がいた。それはヨーロッパ諸国だった。大産油国であるイランは、外国に持っている石油代金の凍結分が、相当あり金には困らない国だが、それが使えない状態にあるだけだ。

 加えて、イランはアメリカによる長い経済制裁のために、インフラはボロボロになってもいる。航空機、車両、発電所に石油施設など、イランには修理したり新規にやりたい工事が、山積しているのだ。

 まさに、イランは世界の先進国にしてみれば、宝の山であろう。その宝の山に食いつき始めたのが、ヨーロッパ諸国であり、ヨーロッパ諸国はイランとの貿易を、活性化するために新たな資金の流れを、作るということになった。この機関が出来上がれば、ヨーロッパ諸国は何の抵抗も、アメリカの邪魔も無く、イランと取引できるようになるだの。

 加えて、この新たな機関にはヨーロッパ諸国だけではなく、他の国々も参加することが出来る、ということなので、アメリカのイラン経済締め付けは、ほぼ完全に失敗に終わった、ということであろう。

 石油の輸出阻止も結局は、ロシアや中国、インドといった大消費諸国が、自国通貨での取引を進め、『イランの石油を一滴たりとも外国に買わせない。』というトランプ大統領の考えは、失敗に終わっている。

 何故、トランプ大統領は完全な失敗を、してしまったのであろうか。それはあまりにも、自分勝手なやり方であり、世界を力で抑え込もうとする、考えだからであろう。フランスのマクロン大統領は、ヨーロッパ諸国を代表して、アメリカに反旗を翻している。

 アメリカはシリアでも敗北した。もう、シリアにアメリカが介入する余地は、極めて限られた範囲に、なったのではないのか。アメリカが支援していたIS(ISIL)は、シリア軍やイランの革命防衛隊などに追い込まれ、アメリカ軍のヘリで逃げだす始末だ.既に、アフガニスタンに移送されたIS(ISIL)のメンバーは、2500人を超えている、という情報もある。

 結果的に、中東はロシアとイランの勝利に終わり、その恩恵に浴するのはヨーロッパ諸国、ということになりそうだ。トランプ大統領は11月に中間選挙を控え、どうその穴埋めをするのであろうか。