『ロシアが始めた中東総支配への一歩』

2018年9月25日

ロシアのプーチン大統領は、シリアにおける自国の関与が、大きな成果を挙げたことを踏まえ、思い切った新方針を、打ち出し始めているのかもしれない。ロシアは東地中海とシリアの領空を、すべて電子管理することを決めたのだ。

このシステムが作動し始めると、この領域を飛ぶ航空機の、衛星ナビゲーションは使えなくなり、機内に積まれたレーダーや、通信システムも、作動不可能となるということだ。それはロシア軍の電子対抗機能が、非常に高いレベルであることから、疑う余地もあるまい。

加えて、ロシア政府はシリアに対して、S300ミサイルを今後2週間以内に、引き渡すと発表した。このS300ミサイルが、シリアの手に渡れば、シリアの空域に外国のミサイルや、戦闘機が侵入すれば、たちまちにして、撃墜されることになろう。


この二つのシステムが稼働し始めれば、たとえアメリカと言えども、容易にシリアやロシアに手をだすわけには、いかなくなるということだ。もちろん、イスラエルもしかりであろう。

そこで問題になるのは、シリアやロシアと良好な関係にある、レバノンのヘズブラやイランの革命防衛隊は、この新システムによって妨害、阻止されるとは限らないという点だ。ヘズブラと革命防衛隊は、我が物顔で行動できるように、なるのではないのか。

そうなれば、このシステムの導入はイスラエルにとって、極めて危険な状況を生み出す、ということになる。しかも、イスラエルと国境を接する、シリアの南部には相当数の革命防衛隊員や、ヘズブラのメンバーがおり、彼らはミサイルを所有しているのだ。

その危険な状態にあるイスラエルを、アメリカが守ろうとして、地中海海域で動き出せば、ロシアはそれを阻止する動き、出る可能性があろう。アメリカとて手無益な戦闘を、ロシアと始めるつもりはなかろう。

もちろん、アメリカ政府の内部の一部には、第三次世界大戦を期待するグループが存在する、とも伝えられているが、それは実際には動き出さないのではないのか。そうなると、いま一番震え上がっているの、イスラエルであろう。