『ロシア機を撃墜問題とその後』

2018年9月19日

 

 シリアが友軍のロシアの飛行機を撃墜し、15人の乗員全員が死亡した模様だ。これはまさに大事件であろう。当初その空域に、イスラエル軍機がいたことから、イスラエル機による撃墜という話も出たが、間もなくロシア政府はロシア機が、シリアのミサイルによって、撃墜されたことを公表した。

 これで一件落着ということになり、ロシアとシリアとイスラエルとの関係が、緊張することもなかろう、と思われるのだがどうもそうではないようだ。そもそも、この空域ではアメリカを中心とする合同軍や、ロシア軍、そしてシリア軍とイスラエル軍が、競っている場所だ。

 イスラエルはラタキアやホムス、ハマなどに対して、これまでに200回以上のミサイル攻撃を行っている。この日も、イスラエル機が飛来し、攻撃の危険を察知したシリア側は、ミサイルで応戦していたということだ。その一部が間違ってロシア機にあたり、ロシア機は撃墜されたということだ。

 この場合、イスラエル側は事前に、作戦行動をロシアに伝える義務があったが、伝えられたのは1分前であり、実質対応不可能だった、ということであり、そのことが事件後に、ロシアをしてイスラエル非難をさせている。

 同時に、このタイミングで地中海側からミサイル攻撃があり、それにもシリア軍は対応を迫られていたということだ。その地中海側からの攻撃は、どうもフランス海軍によるもののようだ。

 今回の誤爆事件は、これまでロシアとトルコが主導権を取り、イドリブでの戦闘を抑え込めたことで、両国の世界での評価が高まることを、懸念した国によって仕向けられたのではないか、とも疑いたくなる。

 ロシア機撃墜事件で、問題は世界の関心が、完全にイドリブからロシア機撃墜事件に、移ったことであろう。それは、アメリカやヨーロッパの中の、強硬派にとっては、好都合なことであろう