最近のサウジアラビア政府の決定には、何処か異常なものを感じるのは、私だけであろうか。このサウジアラビアの異常性は、イランに対する恐怖心か、ら出ているのではないだろうか。
サウジアラビアはイランを中心とする、シーア諸国に包囲されている。いずれはこれらの国々を、敵に回して戦わなければならない。しかし、その戦いでの勝ち目はあるまい。何せ戦争を経験しているか、戦争を継続している、イラクやシリアを相手にし、そのうえ大きな戦争を経験した、イランを相手にするのだから。
いまイランが支援しているといわれている、イエメンのホウシ組織との戦闘が、こう着状態にあり、サウジアラビアの軍事基地や、首都リヤドの周辺まで、ホウシ側のミサイルが飛んできている状況だ。
イランを筆頭にイラク、シリア、レバノンのヘズブラ、イエメン、そしてオマーンもシーア派色の濃い国であり、イランとはドファール戦争時に、オマーンはイランの支援を受けたために、特別の関係にある。カタールについても然りであろう。
そうしたシーア派諸国による、サウジアラビア包囲への恐怖が、サウジアラビアのシーア派国民への弾圧につながり、その事により、負傷者が出ているものと思われるし、場合によっては死者が出ているかもしれない。サウジアラビアは報道規制が厳しいために、実情はなかなか伝わってこない。
加えて、サウジアラビアは最近、アラブの敵国であるイスラエルから、アイアン・ドーム・システムを購入することに、合意している。アイアンドームとは全てのミサイル、ロケットなど飛翔物体を、撃墜することの出来るシステムだ。
これは多分に、イエメンからのミサイル攻撃に、備えてのものと思われる。サウジアラビアにとっては、イエメンとの戦闘はもう遊びではない、イエメンは本格的な戦争の、相手国なのだ。
サウジアラビアとイスラエルとの関係は、イランを共に敵視していることなどもあり、極めて緊密な関係になっており、サウジアラビアの政府高官が、折々イスラエルを訪問してもいる。
特にムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、アメリカ政府の助言もあってだろうが、イスラエルとの関係は深い。先日のアラムコの株上場問題をめぐっては、サルマン国王が待ったを掛けたが、アルカテイーフ問題や、イスラエルとの関係にも、待ったを掛けないと、サウジアラビアそのものが、崩壊する危険が高まるのではないか。