『アメリカとシリアの情報トップが秘密会議』

2018年8月30日

レバノンのアルアフバール紙が報じたところによれば、アメリカとシアの情報トップが、ダマスカスで秘密の会議を開いたということだ。しかし、その内容についてはあまり、明かされていない。アルアフバール紙はダマスカス側の情報ソースとコンタクトを取ったが、何も明かされなかったようだ。

アメリカの代表団のメンバーが、誰であったのかについては、完全に秘密で名前が一人も明かされていないが、シリア側に付いては、何人かの要人の名前が明らかにされた。シリア治安部のトップであるアリー・マムルーク、軍情報部トップのムハンマド・ゼイトーンなどだ。

この秘密会議は6月に行われたのだが、ロシアとアラブ首長国連邦が、仲介役を果したようだ。話し合いの主なものは、クルド人居住地域とクルドの今後の自治問題、そして、アメリカ側はアメリカのシリアの石油の権益を、認めろとも迫ったようだ

これに対してシリア側は、アメリカ軍がシリア領土内にいることは、国際法上違法であり、彼らが支配しているシリアの石油について、益を与えるつもりはないと応えている。まさにそんなことをしたら、泥棒に追い銭であろう。

アメリカにしてみれば、なかなか終わらないシリア問題で。シリアの石油の権益を確保し、その見返りとしてアサド体制の存続を許す、という作戦に出たようだが、アサド体制は国土の90パーセント以上を、支配下に置いているいま、アメリカの申し出に乗るつもりはあるまい。

最近になって、ロシアはアメリカがシリアでの、化学兵器使用を口実に、攻撃を仕掛けるであろうと懸念し、地中海に大艦隊を送ったが、これはシリアの拒否にあった、アメリカの報復に備えるものなのかもしれない。

他方、アメリカもペルシャ湾へ大艦隊を送り出しているし、カタールにも基地の拡張を申し込んでいる。それだけアメリカとロシアは、シリア問題を挟んで軍事的に、緊張しているということだ。
それにしても、最近になってイランもトルコも、シリアもアメリカに明確なノーを口にするようになってきていることに、驚かされる。日本はアメリカに対してノーという言葉を、言うつもりは永久に無いのであろうか。