『マクロンが新しい国際連帯生むか』

2018年8月28日

 

 フランスのマクロン大統領は確か、40代だったような気がする。若いことは失敗もあるが、思い切った言動もするものだと思う。最近の彼の発言は、全ヨーロッパを代表しているように思える。

 彼マクロン大統領は『もうアメリカの言いなりになることはない。』と言い出しているのだ。ヨーロッパはアメリカの軍事力に頼るのではなく、周辺諸国との新しい関係を、構築して行く必要がある、と言い出したのだ。

 それはアメリカを抜きにした、ヨーロッパ諸国とロシアとの関係構築であり、軍事的な対立ではなく、話し合いによる協力関係を、生み出して行くべきだということだ。それは歓迎すべきことであろう。

 マクロン大統領がこうした発言をし始めたのは、アメリカの強引な対欧姿勢にあろう。アメリカのトランプ大統領はNATO参加国に対して、『もっと軍事費を出せ、お前らはただ乗りだ。』と怒鳴りつけたのだが、ヨーロッパ諸国にしてみれば、ロシアの軍事的な脅威が薄らいだ今日では、アメリカ軍のNATOに留まる事は、単なる軍事的な圧力になっている、ということであろう。

 マクロン大統領はイギリスがEUから、離脱することをきっかけに、アメリカはEUの分裂を生み出す、画策を始めている、とも非難している。確かにそうであろう。EUという強力な一つの集団を、潰してしまえば、アメリカは覇権国として、留まり続けることができるのだ。

 このマクロン大統領の姿勢には、ロシアのプーチン大統領もドイツのメルケル首相も、賛成であろう。加えて、トルコのエルドアン大統領やイランのロウハーニ大統領も、然りであろう。

 マクロン大統領の投げた一石が、国際政治に大きな波紋を、もたらし始めている。アメリカが打ち出した関税の引き上げは、世界中の経済にダメージを与え、加えて、アメリカによる通貨レートのコントロールは、各国を経済危機に追い込んでもいる。

 イギリスのメイ首相ですら、マクロン大統領に近い考えを、持ち始めているのではないだろうか。そうだとすれば、一枚岩だった米英関係も崩れる、ということだ。メイ首相とエルドアン大統領の電話会談は、それを現しているのかもしれない。

 フランスとトルコはアメリカに対抗するための、経済協力関係を、討議し始めてもいる。ドイツとトルコの外相も、やはり経済協力を討議し始めている。マクロン大統領はロシアやトルコ、イランとの、関係促進を語ってもいるのだ。

 このことは、これまでの国際関係の構図を、完全に書き換えることになるのではないか、と思わせる。もちろん、それにはアメリカに敵視されている、中国もイランも乗って来よう。世界は新しい時代を、迎えつつあるのではないか。