トルコに行ってハイウエーを車で走ってみると、スピードの早さに気がつく、私が乗せてもらっている車でも、通常130~から160キロで走るのだ。ハイスピードで走るのは目的地に早く着くから歓迎なのだが、もし事故になれば確実に死ぬと言うことでもある。
私のドライバーは元長距離バスの運転手で、ベテランであり『先生飛ばしてもいいか?』と聞いてくるから構わないと答えると、スピードはたちまち160キロ台に上がり、場合によっては200キロまで出すのだ。
ところがこうした傾向は、私のドライバーばかりではなく、普通の運転者も同じようなことをやるわけであり、彼らはちょっとしたミスから、大事故を起こしてしまう。結果は、高級車がぺしゃんこになり、乗っていた人達もぺしゃんこになって、死亡するのだ。
トルコ人が高速で走りたがるのにはわけがある。トルコのイスタンブールを始めとする大都会では、交通渋滞が通常化しており、道がすいていれば30分で行けるところが、2時間以上かかる場合もあるのだ。その都会の交通渋滞から解放されるのが、高速道路ということになり、そこに辿り着くと飛ばしたくなる。その心理は分からないでもないが、危険もいっぱいなのだ。
今年のイードルアドハ(犠牲祭)には休みのなかで、多数の交通事故死傷者が出ている。現在の段階で、137の事故が起こり、105人が死亡し、424人が負傷したということだ。彼らはリゾートに向かっていたか、実家に帰る途中だったのだのだ。
イード(祭日)の二日目の段階で、20の県で早くも29の事故が発生し、27人が死亡し、119人が負傷している。交通警察はドローンとヘリを飛ばして、交通状況を監視するのだが、全く役に立っていないようだ。
イードルアドハは犠牲祭という意味なのだが、これではまさに犠牲祭ではないか。交通のモラルを国民がもっと学ばなければ、犠牲はもっと増えるということであろう。