アメリカのトランプ大統領と、トルコのエルドアン大統領の、真正面からの衝突は、世界中でいろんな影響を、生み出しているようだ。日本の株価もトルコ・リラの下落で値下げしているし、FXなる取引をしている人たちの中には、トルコ・リラを買って数千万円の損失を出した、という話が伝わってきている。
アメリカの輸出品に対するトルコの報復関税は、アメリカ国内産業に少なからぬ影響を、与えていることであろう。加えて、ブロンソン牧師の引き渡し問題は、ますます困難を極めてきている、アメリカ・トルコ共に、メンツの戦いになってきており、どちらもそう簡単には、妥協が出来なくなっているのだ。
このアメリカとトルコの経済闘争は、経済戦争と呼ぶにふさわしいものになり、トルコ側には幾つもの国が味方している。ロシアのラブロフ外相は、「ドルの国際的信用は失墜し、ドルの時代の終わりは近い。』と極めて厳しい予測を、口にしている。
同様の発言は、トルコのベラト経済相も口にしているが、ヨーロッパもしかりなのではないか。アメリカによる貿易関税いじりが、国際的な反発を呼び、自国通貨同士での取引が、世界規模で拡大している。
こうなっては、ドルを経由する取引から、利益を得ていたアメリカが、その利益を得られなくなる、ということだ。なかでも、アラブ湾岸産油諸国も、アメリカとの間の石油取引を、ドルに限定するという取り決めが崩れれば、目も当てられない状態になろう。
カタールにはアメリカの中東最大の、軍事基地があるが、そのカタールがトルコに対して、150億ドルの経済投資をする、ということを決めている。カタールはガス取引をドルではない、他の通貨に替えたわけではないが、これはアメリカにとっては、不愉快極まりないことであろうことは、間違あるまい。
イランはすでにインド、中国、ロシアなどとの取引は、自国通貨同士で行っており、それにユーロが加わっている。石油やガスといったエネルギー商品だけではなく、それ以外の貿易でも、自国通貨同士の取引が、拡大しているのだ。
他方、ドイツのメルケル首相は、『トルコ経済の安定を望んでいる。』という発言をし、エルドアン大統領支持の立場を、鮮明にしている。また、スイスの投資家マーク・フェイバー氏は『いまがトルコに投資するチャンスだ。』と発言している。
そして世界銀行協会の考えでは『トルコ・リラは1ドルに対し5~5・5リラが妥当だ。』ということだ。こうした一連の発言は、結局のところトルコの経済擁護であろう。それはアメリカに敵対する意味もあろうが、トルコ経済の世界経済に及ぼす影響の大きさや、トルコのNATOメンバーとしての、期待による部分もあろう。トルコはトランプ大統領の感情の爆発だけでは、容易に潰せないということであろうか。