『アメリカはトルコの体制を潰す気だ』

2018年8月12日

 ショッキングなタイトルの記事が、イランのプレス・テレビで紹介された。これは『アメリカはトルコの体制を潰す気だ』と言うものだ。確かに、最近のアメリカのトルコに対する攻勢は、トルコの体制が倒れるような状況を、作り出しているのではないか、と思われるふしが多分にある。

 例えば、トルコ・リラの大暴落がそうであろう。今年初頭には下がったと言っても、まだトルコ・リラは1ドルに対して4.00リラ程度であったものが、最近では6.61リラにまで下落し、いまでは6,41リラで留まっている。

 このアメリカによるトルコ体制打倒の意見は、ベネズエラのジェームズ・ペトラス氏が述べたものであり、NYタイムズ紙も紹介している。そして同氏はプレス・テレビのインタビューに答えたものだ。

 トルコのエルドアン大統領はこのアメリカの敵対的な政策に対して『トルコには新たな選択肢がある。これはアメリカとの関係を破壊するものだ。』と述べている。ここでエルドアン大統領が述べている選択肢とは、アメリカから離れ、ロシアや中国との関係を、強化させることに他ならない。

 ジェームズ・ペトラス教授によれば、アメリカの対トルコ姿勢は、極めて敵対的なものであり、トルコをロシアに押しやるものだ。ということになる。そして彼はアメリカのトルコ対応は、ベネズエラに対する対応と共通している。アメリカは我が国の石油を狙っているのだ、と語っている。

 そもそも、アメリカとトルコとの敵対関係が生じたのは、ブロンソン牧師の釈放にあるが、アメリカは日曜日の午後6時までに、彼を釈放しなければ次の手段を取る、とトルコを恫喝している。

 これに対してエルドアン大統領は『アメリカの命令に従うくらいなら、自殺するほうがましだ。』と答え、『トルコは我々の足で立っており、政府は8800万人の国民に、支持されている。アメリカの下僕ではない。』とやり返した。

 アメリカはトルコに対して、関税を二倍にし、リラの暴落を工作しているが、エルドアン大統領は『わが国に経済戦争をしかけた者に対しては報復する。』とも語っている。しかし、現実は彼の義理の息子ベラト経済相の下では、何の経済効果も変化も、生まれていない。

 じりじりと真綿で首を絞めるように、リラ安を昂進させて、アメリカはトルコの体制を倒す気なのであろうか。エルドアン大統領に対する評価は別として、これは許されるべき事ではないのではないか。問題は世界の良識が、ここで表面に出てくるか否かだ。