『トルコの検察はインジルリク基地の米将兵を逮捕するか』

2018年8月10日

 

810日トルコ・リラはドルに対して、ついに5.59まで下げている。これはトルコ経済が悪化したこともあるが、主因はアメリカとの関係が、こじれ過ぎているからであろう。ブロンソン牧師の引き渡しをめぐって、トルコ側は彼がギュレン・グープに関与していたし、クルドのPKKとも関係があるとして、断固釈放しない方針でいる。

 その裏はと言えば、エルドアン大統領が仇敵と考えているフェイトッラー・ギュレン氏を、アメリカから奪還しようという、腹積もりなのだ。それにしても、この作戦は極めて高くついている、ということであろう。

 アメリカ側もエルドアン政権を、潰す気でいるのではないか、と思われる。そのようなコメントをしている、外交評論家もいるのだ。トルコ・リラの急激な値下がりが、トルコ国内経済にどう影響するかは、誰にも想像がつこう。

 こうした、トルコとアメリカとの関係悪化のなかで,トルコの検察側はトルコの、インジルリク空軍基地に関係している、アメリカ軍将兵を捜査の対象とし、逮捕したいと考え始めている。述べるまでも無く、インジルリク空軍基地はNATOにとって、極めて重要な空軍基地になっているのだ。

 トルコの検察当局はインジルリク空軍基地の、米軍将兵数十人を逮捕するための、準備を進めている。既に彼らの名前も明かされており、60ペ-ジにも及ぶ犯罪証拠書類が、出来上がっているということのようだ。

その内容はと言えば、トルコ憲法の破壊、トルコ政府への妨害、トルコ国家の独立性への敵対行為、などとなっている。また、インジルリク空軍基地を利用するアメリカ軍機による、殺害も問題視されている。

トルコ政府はこのことに関して、明らかな行動には出ていないが、やがてアメリカ側に抗議し、問題化していくことであろう。しかし、インジルリク空軍基地のトルコ軍高官と検察側とは、協力していることを明かしている。

トルコ政府はアメリカ軍がクルドのPKKと関係ある、SDFに対して軍事訓練を施し、武器を与えていることを分かっているのだ。それはトルコに対する敵対行動だ、というのがトルコ政府の認識だ。

こうまでこじれてしまっている、トルコとアメリカとの関係を、誰が仲介でき、修復できるのであろうか。大きなクエッション・マークが浮かぶのだが。