先月7月30日に、アメリカのトランプ大統領はイランとの条件無しの、トップ会談を申し入れている。イランとの核交渉を再開したい、という意向の模様だ。しかし、イラン側はこれを拒否している。
何故イランは、アメリカとのトップ交渉を、拒否したのであろうか。イランにはイランなりの,理由があるようだ。イランのロウハー二大統領は月曜日に、テレビ・インタービューを受け、その説明をした。
『我々はこれまで常に、外交努力を払うことを、心掛けて来た。しかし、話し合いは正直さが求められる。核合意から離脱して、アメリカは再度交渉をしよう、と言い出している。アメリカが我が国に対して、制裁を加えたために子供たちが、犠牲になっているのだ。』
ロウハーニ大統領に言わせると、アメリカのやり口は、ナイフを突きつけたうえで、交渉をしようというのと同じだ。交渉するならまずナイフを、下ろすべきであろう。ということだ。
そもそも、トランプ大統領の対話呼びかけは、アメリカ国内向けであり、イランと交渉するつもりはない。それどころか、この交渉はイラン国内に、意見の相違を生み出すだけだ。アメリカはまず自分を非難すべきではないのか。
しかし、こうしたアメリカの振る舞いは、これまで常にアメリカを支えてきていた、ヨーロッパをも離脱させることになった。そもそも、核合意はイランとアメリカ、そしてP5+1で交わされたものだった。その合意にはイランのドル問題、金取引、希少金属、自動車輸出、石油輸出も含まれていたのだ。
しかし、トランプ大統領は5月8日、あっさりとこの合意から抜ける、と宣言している。結果はイランに対する核の締め付けと、経済制裁だった。
同様に、イランのザリーフ外相もアメリカの立場を、非難している。彼によれば『核合意から離脱したアメリカのトランプ大統領が、どうイランと交渉するというのか。トランプ大統領は再度イランと交渉し、合意に至っても、後にあっさり(これは無効になった)と言うのであろう。これが交渉呼びかけなのであろうか。』
この二人のイラン要人の発言は、アメリカとのトップ交渉を明確に、拒否する内容であろう。イラン国内はいま、大衆デモが各地で起こっており、アメリカの甘い言葉は、イラン国民を分裂に持ち込む危険性がある。
当然のことながら、ハメネイ最高指導者や彼を支持する、革命防衛隊はアメリカとの交渉を、絶対受け入れない方針だ。もし、ロウハーニ統領がアメリカの呼びかけに、応えることになれば、彼の身は危険にさらされるということだ。