アメリカとの緊張のなかで、イラン政府はどうして行くのであろうか。シリアへの介入、レバノンのヘズブラ支援、ホルムズ海峡とバーブルマンデブ海峡での動き、これらは皆アメリカとの関係を緊張させている。もちろん、アメリカとの間では核問題をめぐっても、緊張状態にある。
アメリカのトランプ大統領は、ここまでイランを追い込んだ後に、イランに対話を呼びかけたが、いまのところ屈辱的な会談をするつもりはない、とイラン側はトランプ・ロウハーニ会談を、拒否している。最近流れてきた情報では、トランプ・ロウハーニ会談は国連で行われるのではないか、ということだがまだ分からない。
加えて、イランの通貨リヤルの暴落も、イランの庶民にとっては大問題であろう。アメリカとの関係が悪化し、核合意からアメリカが離脱した後、経済制裁が効奏して、イランの経済状態は悪化し、通貨安が起こっているのだ。それは直接的に庶民の生活を、窮地に追い込むことになっている。
アメリカはこの結果、イラン国内が不安定化し、体制が弱体化することを、狙っているのであろう。イラン国内では水不足、宗教的締め付け、地方政府の汚職など、国民の不満の種は、山積されている。
いまデモが起こっているのは、シラーズ、イスファハーン、アルク、カラジといった街であり、首都テヘランでは小規模なデモが、起こるに留まっている。テヘラン近郊の街エシュテハードでも、デモは起こっている。
デモ参加者たちは『値上死ね。』と叫んでいるということだ。驚くことに、大産油国であるイランでいま、ガソリン不足が起こっており、カスピ海近郊の街では、ガソリンの不足が目立っている、と報告されている。ガソリンスタンドにガソリンが無いというのだ。
イランの通貨リヤルは1年前に比較し、80パーセント下落したということだ。こうしたなかで、ロウハーニ大統領への批判の声は、高まっている。それはイランの強硬派からばかりではなく、彼を支持した人達の間からも、起こっているのだ。ロウハーニ批判の声は、彼の経済政策の失敗を、批判しているのだ。
反政府デモは80以上の都市で起こり、これまでに25人が殺され、4000人が逮捕されたということだ。それでも過去の経験から学び、デモはよく装備され、計画されているために、この程度の犠牲で済んでいる、と評する人もいる。
しかし、この時点では全国的な行動には、なり難いのではないか、と思われている。それは明確な方針とリーダーシップが、存在しないからだということだ。そう評価しているのは著名な政治活動家の、ブルハン・アモエイ氏だ。彼はいままでに何度と無く、投獄されている、言わばベテラン活動家だ。
そして、やはり大衆は国家の体制が変わることの、リスクが大きいことに、不安を抱いているようだ。それがいまのイランの体制を、守っているのであろうか。アメリカのイランに対する追い込みは、あまりにも強烈であるために、イラン国民の間に反発を生み出していることも、事実であろう。