トルコの通貨リラの下落は、相当酷い状況になっている、今年初頭1ドルに対して4リラ程度であったものが、今では5リラ以下に下がり、5.1リラ前後になっているのだ。その前の段階でのリラの価値は、1ドルに対して3リラ程度であったことを考えると、まさに暴落と呼べるものであろう。
この結果、輸入品価格が上がりし、国内製品も便乗値上げされ、インフレが16パーセントのレベルに達している。失業問題やリラの下落で、庶民の生活は苦しくなっており、それは直接的にエルドアン大統領に対する、支持を減らすということであろう。
そこでエルドアン大統領が、国民に呼びかけたのは、外貨のたんす貯金(トルコではマットレスの下と表現されている)を吐き出させる作戦だ。確かに自国通貨がこうも下がると、何処の家庭でも外貨、特にドルに換金することになる。そのドルの量が想像を、超えるもののようだ。
このエルドアン大統領の『ドルをリラに替えろ。』という呼びかけは、大分前にもあった。しかし、その通りにドルをリラに替えた人たちは、2~30パーセントの損をしているということだ。リラの値下がりが、酷すぎるからに他ならない。
シムシェク副首相は『トルコは2200トンの金を保有している。従ってリラについては心配ない』と国民に呼びかけている。そうであろうか、もしトルコにそれだけの金が、本当にあるのならば、トルコは金満国家ということに、なるのであろうか。
エルドアン大統領は外貨の、リラへの交換を訴えると同時に、エルドアン大統領の第2期目、100日間計画として、このリラへの交換を発表している。100日計画の総額は90億ドルにも上るものだ。その内容は、軍需産業に集中するというものであり、48の計画が進められるということだ。既に軍用ヘリコプター30機の、パキスタンへの供与が決まっている。その総額は15億ドルだということだ。
また中国市場への進出も、エルドアン大統領は発表している。例えばトルコの産物さくらんぼの、中国市場への輸出が決まっている。しかし、こうした100日計画は本当に、トルコにばら色の未来を約束するのであろうか。
武器なかでも軍用ヘリコプターのような、高度な工業製品は、そのパーツのほとんどを、外国から輸入しなければ、製造できないのが現状だからだ。