『トランプ大統領3羽目の鳥を落とせるか』

2018年8月 2日

 

 アメリカのトランプ大統領は、覇権国の代表として、その力を誇示してきた。これまでに問題を抱えている国の、トップとの会談を成功させ、その力を見せ付けてきた感じだ。第一の標的は北朝鮮の金正恩首領であり、彼は金正恩との会談後に『彼はいい奴だ。』と評している。

 しかし、この北朝鮮のトップ金正恩との、会談結果は何も出なかった。それどころか、最近になって北朝鮮が、長距離ミサイルの発射実験を、実施しているのだ。つまり、アメリカは信用できない国であり、何時でもアメリカを攻撃できる体制を、採らなければならない、というのが北朝鮮のトップ会談後の、アメリカに対する印象なのであろう。

 トランプ大統領はロシアのプーチン大統領との、会談にも成功したが、これもしかるべき成果は出ていない。お互いに探り合いをし、にこやかに微笑んで握手を交わし、記念写真を撮っただけではなかったのか。

 そしていま、トランプ大統領は最も難しい、イランのトップであるロウハーニ大統領との、会談を口にしている。彼曰く『イラン側が望むならば。』ということだが、本音は彼がやりたくて、しょうがないのであろう。

 このイランのトップであるロウハーニ大統領との、会談成功のために、アメリカは金融戦争を仕掛けている。イランの通貨リヤルは、このため1ドルに対して、114000リヤルから115000リヤルまで落ち込んでいる。これではイランの対外経済関係は、成り立つまい。トランプは軍事的にも経済的にも、最大限の圧力をかけることにより、イラン側に膝まづかせようとしている、ということであろう。

 しかし、このようなトランプの強圧的な対応に対して、イラン側は『我が国は北朝鮮のような弱腰の国ではない。』と撥ね退けている。革命防衛隊のトップは『政府にアメリカと取引することを許さない。』と語っている。

ロウハーニ大統領がアメリカに折れて、トランプの申し入れを受諾するのであれば、クーデターも辞さないということであろうか。イラン国民のなかには、アメリカとの会談を望む声も少なくない。彼らは自由なイランになることを望んでおり、アメリカとの妥協でそれが可能だ、と考えているのであろう。 

イラン政府はつい最近、正式にアメリカの申し入れを断ったが、その理由の一つには『核合意にアメリカが戻ること。』というのがある。それは正論であろう。アメリカが勝手に核合意から抜け、そのままでイランがアメリカのトランプ大統領の、トップ会談を受け入れたのでは、イランの立場はなくなるということだ。

 トランプ大統領は近い時期にイランが折れ、トップ会談を受け入れるといっているが、そうならない場合は、完全にメンツを失うことになり、秋の選挙にも影響が出よう。

三羽目の鳥を狙って、トランプ大統領は選挙という大きな鳥を、逃すかもしれない。イラン・アメリカのトップ会談の行方は、注目に値するゲームだ。何やらトランプ大統領のトップ会談熱は、記念メダルやバッチを欲しがる、子供に似ていのだが?彼は度胸がない人物のように思えるのだが。