『サウジアラビアの石油輸出に危険信号』

2018年7月27日

 

 サウジアラビアの石油輸出に、危険信号が点滅し始めている。もしかしたら、サウジアラビアの石油は海上封鎖で、外国に輸出できなくなるかもしれないのだ。それはサウジアラビアの石油の、輸出ルートになっている,ペルシャ湾の出口のホルムズ海峡と、紅海の出口のバーブルマンデブ海峡近くで,問題が起こり始めているからだ。

 ペルシャ湾の出口のホルムズ海峡については、アメリカのイランに対する圧力が、イランの反発を買い、『イランは自国の石油輸出が止まるのであれば、ホルムズ海峡を通過する、タンカーの動きを阻止する。』と言い出しているのだ。

 その後にも、アメリカのトランプ大統領が高飛車な、イランに対する圧力発言をすると、イランのスレイマ―ニ将軍は『やるならやってみろ、手痛い報復を受けることになるぞ。』と脅し返している。

 アメリカがイランと事を構えることになれば、サウジアラビアの石油がホルムズ海峡を経由して、世界の市場に出ることはなくなる、という危険性がある。最近では、トランプ大統領もイランの怖さを知ったのであろうか、イランに対する妥協発言が、見え隠れし始めている。

 紅海の出口のバーブルマンデブ海峡については、イランの支援を受けるイエメンのホウシ派が、小舟を使ってサウジアラビアに出入りする、タンカーに攻撃を加え始めているのだ。

 いまのところは警告程度であろうが、この先、実質的なタンカー攻撃が、起こるかもしれない。イエメンのホウシ派はイランの援助を受けており、短距離ロケットやミサイルを持っているし、対戦車砲も持っている。従って、小型の漁船からタンカーに対して、攻撃をかけることは、さして難しい問題ではあるまい。

 こうした状況に敏感に反応するのは,船会社であり保険会社であろう。実際にタンカーが被害を受けなくとも、その危険性が高まれば、保険料は暴騰しよう。そのことに加え、タンカーの乗組員たちも、乗船を嫌うようになろう。

 このばかげた緊張を作り出したのは,紛れもなくアメリカのトランプ大統領であろう。彼の大口が、実はいたって弱腰なのだが、周りに与える影響は少なくない。トランプ大統領は最後に刀をどう、鞘に納めるのか見ものだ。