『ロシアはイスラエルとどんな取引をしたのか』

2018年7月22日

 

 ロシアとイスラエルがどのような取引をしたか、と言うことがイスラエル国内で、話題になっているようだ。ロシアとイスラエルが何らかの取引をして、合意に至ったために、イスラエルはシリア国内の、イランの革命防衛隊に対する、攻撃を手控えているようだ。

 また、イスラエル軍によるシリア軍への攻撃も、最近になって緩和しているような状況が、生まれている。ただ、ガザのハマースに対する攻撃は、その限りで無いかもしれない。つまり、イスラエルはハマースに対する攻撃と引き換えに、イランの革命防衛隊やシリア軍への攻撃は、手控えているのではないか。

 問題はその結果、イスラエルの安全がシリア側との間で、守りうるかということだ。多分、ロシアはイラン革命防衛隊を、ゴランなどの国境から遠ざけることにより、イラン革命防衛隊の、シリア残留を認めさせ、イスラエルに対しては直接的な、脅威を取り去るという合意を、したのではないかということだ。

 ロシアは『シリア国内のイラン革命防衛隊の去就に付いては、シリア政府が決めることであり関与しない。』と言っている。それは正論であろう。しかし、同時にシリア国内のロシア軍の安全も、考慮しなければなるまい。

 ロシア軍がイラン革命防衛隊の支援を、必要とするとは思えないが、シリア軍の立場が弱くなることは望むまい。そこでイスラエルが文句を言え無いように、安全が確保できる位置まで後退させる、ということであろうか。

 イラン側はその結果、シリアに留まってアサド体制を擁護している、と言うことが出来、面子が保てよう。イランにとってのシリアでの、イラン革命防衛隊の駐留理由は、アサド体制擁護とイランの面子、そして将来的なイラン・レバノン回廊の建設であろう。しかし、それはイスラエルと一戦を交えることを、目的としてはいまい。

 イランのシリアへの台頭理由は、あくまでも友好国を増やし、アラブ湾岸諸国を包囲し、圧力を加えることであろう。イランはシーアの輪を、イラク、レバノン、シリア、イエメンで創り上げる気であろう。

 イスラエルはシリア軍による攻撃は無いと踏んでいよう。シリアは賢い国であり、イスラエルと一戦を構えることが、どれだけ体制と国家にとって、マイナスかをよく分かっている。イスラエルとの冷たいが安全な関係を、シリアは望んでいるし、イスラエルも然りであろう。

 そうなると、ガザのハマースは完全に国際連携関係から外れ、イスラエルは自由に攻撃を加えることが出来、ガザからの攻撃の不安を、取り去ることが出来よう。ハマースは実質的に、シリア軍よりも危険な存在なのだから。こうした展開はイスラエルにとっては、うれしいものであろう。

 一見、ロシアにしてやられたかに見える、イスラエルのシリア・イランとの妥協は、実はハマース叩きが根底にあるのであろう。ネタニヤフ首相はその事を口外せず、あくまでも秘密にすることにより、四方が丸く収まる状況を、作っているのではないのか。ただ、この結果ハマースはもっと苦しい状態に陥ろう。