『米下院議員トルコへのローンを中止しろ』

2018年7月21日

 

 アメリカの下院議員6人が、7月19日の議会でトルコに対するローンを、中止すべきだ、と主張し始めている。それはトルコで捕まっている、アメリカ人問題に関わる部分が、大であろうと思われる。この人物はトルコ在住20年ということなのだから、相当のトルコびいきであると同時に、トルコ社会をよく知る人物であろう。

 トルコ政府が彼を逮捕し、裁判結果によっては35年の、判決を下すものと思われるが、それはこの人物が、2016年7月15日に起こった、反エルドアンのクーデターに関与している、と見られているからだ。

 アメリカの下院議員たちはトルコ在住のアメリカ人に対して法的公正を守るべきだ、と主張している。その人物の名はアンドリュー・ブランソンであり、職業は牧師だ。彼への処遇をめぐりアメリカの議員たちは『トルコに対するローンを中止しろ。』と言っているが、アメリカの国民が世銀でも、欧州銀行でも要職にあることから、トルコ政府側も対抗の動きを示している。

 述べるまでも無く、トルコはアメリカを含むNATOの重要な、加盟国であることから、問題はトルコ・アメリカ関係に、極めて複雑な要素を含んでいよう。アメリカ側はアメリカ国民のトルコ国内での、行動の自由を認めろとも主張しているし、アメリカ外交機関が現地で雇用しているトルコ人についても、法的に公正な対応をすべきだと主張している。

 これに先立ち、アメリカの議員の一部は『トルコにF35戦闘機を輸出するな。』と主張するグループがいた。あるいはこれらのメンバーは、同一人物か、あるいは同じ政治思考の人達かもしれない。

 トルコとロシアとのS400を始めとする、武器取引が拡大しているなかでは、アメリカ政府としてはトルコへのF35の輸出は、是非とも実施したいところであろう。この戦闘機の輸出については、マチス国防長官が認めるべきだ、と主張している。

 アメリカから今回のようなローンへの反対、そして、これに先立つF35戦闘機の輸出阻止の動きが、起こっているということは、アメリカのエリートのなかに、反トルコ的な感情が、拡大しているのかも知れない。

 しかし、そうしたアメリカの動きは結果的に、トルコをよりロシア側に追い込んでしまうのではないか、という懸念が生まれるのだが。世界ではいま、アメリカの経済的なかげり、アメリカ製兵器の遅れ、などが話題になっており、アメリカが衰退していくなかで、ロシアと中国が台頭してくる、という分析が多数出ている。

 トルコは将来の勝ち馬に賭け、いまのうちからロシアに鞍替えする準備を、進めることがありうるであろうか。アメリカはそれを計算して、トルコ対応をするべきであろう。