『シリアからいいニュース幾つか』

2018年7月19日

 シリアの内戦終結にロシアが払った努力は、高く評価するに値しよう。それまでアメリカが語っていた、シリア安定化への努力なるものは、IS(ISIL)を始めとした反政府派を、支援することであり、何の効果も生み出していないばかりか、状況を悪化させていた。

 しかし、ここに来てロシアの軍事力に、アメリカは驚いたのであろうか。アメリカはシリア問題の解決を、ロシア側に投げ出した感じになってきた。ヘルシンキで行われたプーチン大統領と、トランプ大統領との会談では、アメリカはシリア問題をロシア側に、一任する雰囲気になってきた。

 そうしたこともあってであろうか。シリアとロシアが貿易を活性化する、という情報が流れてきた。ロシアからはシリアへ小麦が送られ、シリアからは野菜や果物が、ロシア側へ送られるということだ。

 このロシアとシリアの貿易が、どの程度の規模のものであるかは別に、シリア国民に希望を抱かせるものであろう。シリアは水に恵まれ農業国として、自国生産物でまかなえる、と言われていたのだ。

 もう一つ希望のあるニュースは、シリア難民がイスラエルに近い、ゴラン高原のそばに集まってきている、というニュースだ。その結果、彼らの安全は守られ、やがては故郷に戻って行けよう。そしてシリア国内にたむろする、IS(ISIL)を始めとする反政府派のテロリストたちは、イドリブなどから北シリアに移動する合意が、生まれたことだ。

 ロシアのプーチン大統領と、アメリカのトランプ大統領との会談では、シリアのイスラエルとの国境、ヨルダンとの国境地域は、アメリカがロシアに任せることを、合意したということだ。この米露トップ会談に先駆け、イスラエルのネタニヤフ首相がプーチン大統領と会っており、その辺の話が付いていたのであろう。

 どうやら、こうした幾つかのニュースを見ていると、シリアの内戦は収束に近づいている、ということであろう。その次にシリアでは何が待っているのかについては、まだ分からないということだが、とりあえずは良かった、ということであろうか。