エルドアン大統領が再選された結果、ある種の勢いがトルコ社会には、生まれているかもしれない。そのエルドアン大統領が、いま一番力を入れなければならない政策は、経済問題の解決であろう。
トルコはいま、トルコ・リラの下落が起こっており、それはついに1ドルに対し5リラのレベルに、達するだろうといわれている。そのことは、リラの価値が半分に近付いている、ということであり。今年だけでも、25パーセントの値下がりを、しているということだ。
もう一つの経済問題は、リラの下落によるところが大きいのだが、インフレが高じている。遂に、トルコのインフレ率は公式発表で、16パーセントを超えているのだ。実質は20パーセントを、はるかに越えていよう。
インフレが進めば、それだけ庶民の負担は、増えるということであり、このインフレ対策は緊急を、要するものであろう。もし、その対応に失敗すれば、エルドアン大統領に対する支持は下がり、政府が危険水域に入ってしまうということだ。
続いて懸念されるのは、失業問題だ。総じてトルコの企業は不景気であり、就職の機会が減っている。なかでも若者の失業率は、相当高くなっているものと思われる。先日、若者が働かず学ばずという状態にある、というニュースが流れたが、働く場所が無いのだ。これも社会的暴発要因であろう。
対外債務が増加している問題もある。外国からの借り入れ金で進めてきた、メガ・プロジェクトはいま、危険な状態にある。イスタンブール大空港は建設半ばにして、工事が止まってしまうのではないか、という懸念が出てきているのだ。
加えて、外国からのトルコへの投資が、減っていることも問題であろう。それは外貨不足であり、それにつられてリラが売られ、ドルが買われるために、ドルはますますリラに対して強くなろう。
加えて、これまで外国から借り入れてきていた、外貨は相当額に上り、元金はもとより、金利支払いだけでも、大変な問題となっていよう。しかも、リラ安のなかでは、ドル建て支払いは、25パーセントも増えているということだ。
以前、エルドアン大統領は金をベースにした、借り入れを行いたい、ということを言っていたが、それもままなるまい。
そこで問題はこの経済のかじ取り役に、エルドアン大統領の義理の息子、ベラト氏が就任したことだ。果たして、彼はこの難題を解決できるのだろうか。彼は自信に満ちた声で『経済問題はじきに解決する。』と語っている。
そして、その具体策であろうか。これまで政府が介入しては、失敗を繰り返していた経済問題で、中央銀行にバトンを渡す方向に、動き出している。しかし、エルドアン大統領のせっかちな性格からすれば、それも長期化するとは思えないのだが。
金の流れは世界中がつながっており、一国が頑張ってもなかなか改善できないのは、当たり前だ。勤勉に働いてすら、改善できないような搾取構造が、国際的に出来上がっているのだ。