『シリア南部でいまだISが特攻作戦・モースルも』

2018年7月11日

 

シリア南部の街ザイズンで、IS(ISIL)が特攻作戦を展開した。その結果、シリア軍とシリアの政府寄りミリシア軍の中に、犠牲者が出ている。その数が14人だったというのだから、大分大掛かりな特攻テロであったと思われる。

 このテロ攻撃を敢行したのはジェイシュ・ハーリド・ビン・ワリード組織であり、この組織はIS(ISIL)と直結する組織だ。もちろん、犯行声明はIS(ISIL)のサイトから、流されている。

 しかも、ザイズンのテロ攻撃場所は、シリア軍の基地であったということであり、そのシリア軍側の警戒網を潜り抜けて、犯行は行われたということであろう。このジェイシュ・ハーリド・ビン・ワリード組織は、IS(ISIL)に繋がるものであるが、これまで、シリア政府とテロリスト側が交わした、停戦合意には関わっていなかったということだ。

 シリア政府はシリア南部の各地にいる、反政府側テロリストと交渉し、テロリストが他の場所に移動するうえでの、安全を保障していた。シリアの北部にはいまだに、公然とテロリストが巣くう場所があり、この合意で数千人のテロリストが移動した、という報告がなされている。

 現在、シリア南部のダラア地域は、シリア軍が80パーセントを支配し、15パーセントを反政府側のテロリストが支配しているということだ。残りの5パーセントは多分、部族の支配地域ではないかと思われる。

 昨年イラク軍が開放したはずの、モースルにはいまだに、IS(ISIL)の残党が残っているようだ。モースルの住民が帰還しても、家屋は破壊されており、生活は極めて困難な状態にある。イラク政府は復旧作業を、早急に進めなければなるまい。

 シリア政府もイラク政府もIS(ISIL)などの、テロリストから国土を奪還するのはいいのだが、長期に及ぶ激戦の結果、ほとんどの街が破壊されてしまっている。

 例え全てのテロリストを、打倒できたとしても、その後に待っているのは、莫大な予算を必要とする、復旧作業であり、医療、教育などのサービスの回復であろう。シリアのような石油の産出量が、極めて限られる国の場合、世界からの支援が絶対に、必要だということだ。