『トルコS400とF35の板挟み』

2018年6月27日

 トルコに対するアメリカのF35戦闘機売却については、アメリカの議会で強い反対が起こっている。45人以上の議員が、F35の引き渡しに反対しているのだ。それは主に商業的な意味合いに、よるものと思われる。

 トルコはF35のアメリカからの輸入の前に、ロシアからS400ミサイルの購入を決めている。それにはアメリカが何度と無く、反対してきていた。安価で性能のいいロシア製兵器の購入を、トルコが望むのは無理もないし、願わくばトルコは合同で、トルコ国内に400の組み立て工場を、設置したい意向のようだ。 

 トルコは以前から兵器製造と、その輸出を念願してきていたが、S400に対する世界的な評判から、是非ともトルコ国内に工場を設置して、製造したいということだ。そのことに対するロシア側の返事は、いまのところ玉虫色の状態にあるが、将来合意の可能性はあろう。

 こうしたトルコとロシアの兵器部門での協力の推進は、アメリカにとっては極めて面白くない話だ。アメリカは兵器輸出で大もうけしてきた、ほぼ世界市場を独占した状態にあった。それが崩れる危険性があるのだ。

 アメリカでは自国の産業を、保護育成したいと考えており、幾つかの法整備も出来上がっている。今回のトルコのロシアからのS400購入は、それに抵触するということだ。しかも、将来はS400をトルコ国内で生産したい、ということであればなおさらだ。

 アメリカはこのS400の取引を潰すために、もし、どうしてもトルコがロシアの、S400を輸入するのであれば、アメリカ製F35戦闘機の輸出を、止めると言い出したのだ。

 これに対してトルコはどう反応するのであろうか。アメリカ政府はF35については厳しい対応だが、他方ではトルコがアメリカの情報収集活動に協力しており、IS掃討でも協力したこと、トルコがNATOのメンバー国であることを、高く評価して見せてもいる。 

 アメリカとトルコとの間には、数十人のアメリカ人が、逮捕され投獄されている、という問題もある。その解決もトルコ・アメリカ間の、喫緊のテーマであろう。アメリカとトルコは今後も各種の問題が浮かび上がっては、消えるのではないか。それは新大統領になったエルドアン大統領の、頭痛の種であろう。