『拡大するトルコの民族主義』 

2018年6月28日

 

624日に行われた大統領選挙、国会議員選挙は、エルドアン氏の大勝利ということであったが、もう一つの特徴が明らかになってきている。それは右派、民族主義者の国民に占める割合が、増大してきているということだ

 トルコの民族主義を代表する政党はMHPだが、この党は国会議員選挙で111パーセントを獲得している。もちろんこの割合は国会での議席を、49議席確保するものであった。

 加えて、同じ様に民族主義の政党IPが、10パーセントの票を獲得し,43議席獲得したということだ。結果的にトルコの選挙では、民族主義者の政党に寄せられた票は、全体の221パーセントを、占めたということだ。つまりAKPと合わせると647パーセントが、民族主義者の票ということになる。

 こうした傾向は、なぜ起っているのであろうか。確かに世界中でも民族主義が、強まる傾向がある。ヨーロッパの国々などは、その典型であろう。何せナチの政党復活や、ヒトラー人気まで台頭しているのだ。ネオ・ナチ、ネオ・ナショナリズムという言葉を、よく耳にするように、なってきている。

 トルコの与党AKPも、やはり基本的には、民族主義政党であろう。エルドアン大統領や側近たちは、ネオ・オスマンという言葉を口にし、トルコ人の誇りを頻繁に口にしている。

トルコの場合は、こうした傾向が出て来た裏には、反国家の勢力の存在であろう。宗教勢力のFETO(ギュレン・グループ)や、PKK(クルド労働党)と言ったグループは、明らかに政府に対抗する組織だ。

 そして、政府の説明ではFETOは、20167月のクーデターを計画し、未遂に終わった。他方、PKKは既に40年近くも、反政府武力闘争を続けており、国家を分裂させ、独立したクルド国家を、樹立する夢を抱いている。

 トルコでの民族主義の台頭には、他の理由も考えられる。それは国際的な経済のブロックが構築され、トルコの経済を破壊しようとする、動きがあるからだ。以前から述べているように、通貨戦争、経済戦争は欧米によって、トルコに仕掛けられているのだ。

 アメリカにトランプ政権が誕生してからは、各国の国家エゴイズムが目立ってきているし、そのために各国が被る経済的な損失は、膨大なものになっている。トランプ大統領は中国にも、経済戦争を仕掛けているようだし、イランに対しては、世界の国々にイラン石油を買うな、と叫んでいる。