トルコのエルドアン大統領は選挙に向けて、大分ほらを吹きまくってきた。景気のいい話や、国際的にトルコに対する評価が高まっているとか、多くの国がトルコを恐れている、とかといった類の、子供のウソ自慢のような話ではないか。
例えば、いま世界的に話題になっている、アメリカのF35戦闘機については、購入が決まり、近くトルコに届けられると言っていた。確かにそのF35がトルコに届き、政府は派手なお披露目パーテイを開いている。
しかし、そのF35は訓練用のものであり、本物ではないのだ。それをあたかも本物のように騒ぎ立てているのだ。アメリカの議会の議員の間では、トルコにはF35を渡すべきではない、という声が大きくなってきている。
また、マレーシアのアンワル・イブラヒムが、エルドアン大統領をムスリム世界の、偉大なリーダーだ、と誉めたことを、国内で派手に宣伝している。このアンワル・イブラヒムは以前ホモセクシャル事件で逮捕され、投獄されていた人物であり、問題があるのだ。
シリアのマンビジュについても、嘘の報道がトルコ政府によって、なされているようだ。トルコ政府はマンビジュから米軍を、追い出そうと思っていたのだが、うまくいかなかった。次いで言ったことは共同管理であった。
マンビジュを実質支配している、クルドのYPG(SDF)から奪還し、彼らをマンビジュから追い出す、ということが決まった。その期限は7月4日だとも報じていた。しかし、後にYPG(SDF)は、マンビジュから出ていく予定はない、とトルコ政府の発表を全面的に、否定している。
こうした嘘を重ねたうえで、経済に関しても相当の、あり得ない話を宣伝してきた。エルドアン大統領が打ち出した、高金利による外貨の取り込みは短命で終わり、そのことがそれでなくても悪い、トルコ経済の足を引っ張る結果となった。
そこで慌てたエルドアン大統領は、今度は逆に金利を下げなければ、トルコの企業が活動できなくなると低金利を、中央銀行に指示した。そんな朝令暮改が通用するわけはなく、どんどん景気は悪化している。
その結果は、エルドアン大統領への支持が下がることだった。最近になり、エルドアン大統領は単独で彼の政党、与党AKPが過半数を取れそうにない、と判断したのであろう。過半数を切った場合は、連立も考慮すると言い出している。
そうした中で、エルドアン大統領支持の一部マスコミが、選挙結果なるものを流した。それによれば、エルドアン大統領は51パーセントの票を獲得するということだ。もちろんその報道は間もなく,姿を消したようだが、政府は既に投票結果なるものを、準備しているということであろう。投票日の後にはその結果なるものが、公表されるということであろう。
野党CHPの大統領候補者であるインジ氏は、選挙管理委員や検察に対して、『我が党が選挙で勝利すれば、選挙結果をごまかした者を、全て逮捕して裁く。』「と警告している。ここに来てトルコの選挙最大の関心事は、野党が勝利した場合の、行く末ではないか。それはエルドアン大統領にとっても、最大の不安であろう。
ただし、エルドアン大統領には私兵サダトが存在し、選挙結果次第では、このサダトの部隊がトルコ国内を、混乱に導くかもしれない。そして、エルドアン大統領は非常事態を延長し、大統領の座に居座り続けるかもしれない。投票日は後2日。どうなることやら。