『シリアのアフリンでトルコ兵犠牲』

2018年6月16日

NO538 6月16 日          中東TODAY

 

『シリアのアフリンでトルコ兵犠牲』

 シリアのアフリンはトルコ軍と、トルコが支援するFSAによって、解放された地域だが、最近ここで相当激しい戦闘が、展開されたようだ。何とその犠牲者は、トルコ軍とFSAだけで、15人を超えているのだから、相手側にも犠牲者は出ていようし、負傷者も相当いるものと思われる。

 FSAに対抗するミリシアといえば、アメリカ軍が支援するSDFであり、クルドのYPGということになるが、そのミリシアがトルコ軍とFSAに、戦いを挑んだということだ。もちろん、それはアメリカの指示に、よるものと思われる。

 この段階でシリアのクルドやアメリカが、トルコに対して攻撃を仕掛けたのは、多分に624日予定されている、トルコの大統領選挙への影響を、及ぼすことを意識してのものと思われる。ここで、もしトルコ軍に大きな犠牲が出れば、それはエルドアン大統領に対する支持が、落ちるということだ。

 トルコ人たちと話してみると、ほとんどがエルドアン大統領の当選を口にする。しかし、それはあくまでもエルドアン大統領が、不正な選挙を行うという前提のものだ。最近では、エルドアン大統領の選挙集会には、あまり人が集まらなくなってきている、という報道もある。

先日はトルコの国営テレビでの選挙演説を、エルドアン大統領は断っている。それは、彼に余裕があるからではなく、裏工作に奔走しているからであろう、と言われている。あるいは相当肉体的に、疲れていることも想像される。

先日ある街の集会で、その場所の名前を間違えてしまったことが、話題になっていたが、以来、アシスタントが付きっ切りで、彼の演説を支えているようだ。エルドアン大統領の物忘れが激しくなっていること、時折、相当疲れた表情を見せることは、彼は健康的に問題を抱えている、ということであろう。

もともと彼は病気に罹っているのだといわれ、一時期から元気になったのは、その病気を治す医者が現れたからだ、と噂さされていた。確か彼の病気は当時大腸がんだ、と噂されていたと思うのだが、どうも別の病気なのだろう。

こうしたエルドアン大統領の健康上の不安、そして選挙での実質的敗北の可能性の高さ、景気の後退で国民の支持が、低下していることなどに加えて、シリアでの軍事的敗北が重なれば、それのもたらす影響は少なくなかろう。

エルドアン大統領は選挙で敗北するのではなく、健康上の理由で大統領職を、手放すかもしれない。そこまでトルコは緊迫しているのだ。アメリカとSDFのアフリンでの攻勢は、相当な圧力となってエルドアン大統領に、のしかかっているものと思われる。