『トルコがまた利上げ・リラ安から逃れる作戦』

2018年6月 8日

 

 トルコの金利は確か数か月前までは、12パーセント台だったような気がする。それがつい最近、トルコ・リラの値下がりを抑えるためと、外国からの資金流入を狙って、16パーセント台に上げた。

 そうしなければ、トルコに外貨が流れて、来なくなっていたのであろう。それはエルドアン大統領の考えであり、中央銀行がそれに賛同して、決められたようだ。まあどう考えても、エルドアン大統領の独断であったろう。

 それが効奏して、5トルコ・リラまで下がるのではないか、と外野が心配していたのだが46トルコ・リラ程度に落ち着いたように見えていた。しかし、それは決して実情に合った対策ではなかったので、再度のトルコ・リラ安が始まった。

 そしてついには、495トルコ・リラまで下落したのだ。慌てたのはトルコの中央銀行であろうし、エルドアン大統領であったろう。トルコ・リラ安は輸入物価の価格を引き上げ、国内産品も値上がりし、トルコはインフレに落ち込んだからだ。

 このような状況が続けば、エルドアン大統領が選挙で、苦戦することは間違いない。そこでエルドアン大統領の主導による、大決断が再度なされた。それはとんでもない金利の引き上げとなった。

 トルコの新金利は165パーセントから、1775パーセントに引き上げられた。その結果、多分短期であろう外国からの投資が、トルコの金融マーケットに入ったようだ。トルコ・リラのレートはたちまち446リラ・レベルまで、持ち直されることになった。

しかし、それはあくまでも短期の利ザヤを、狙ったものであろうから、間もなく引き上げることになり、トルコ・リラ安はこれまでよりもひどい状態で、今後は下がっていくことになろう。

 トルコの大統領選挙投票日は624日、さてエルドアン大統領の打ち出した高金利政策は、この選挙でいい結果を、もたらすことができるのか、あるいはその逆になるのか。

 トルコの起業家たちはどんどん下がるトルコ・リラ・レートと、どんどん上がる金利の間で、挟み撃ちにあっているのだ。彼らの苦しみは尋常ではあるまい。多数の会社の倒産も、十分起こり得よう。それが選挙前となれば、エルドアン大統領は相当苦しい状況に、追い込まれるのではないか。