トルコは6月24日に控えた、大統領選挙に向けて、あらゆることが動いている。トルコの与野党は、自派の立候補者が当選するように、あらゆることを利用している。その中にはニュースも含まれている。
従って、いまの段階でトルコから発せられるニュースは、信用しない方がいい。自派に都合のいいものを選択し、それを拡大して報じているからだ。そればかりか、ありもしないニュースを作り、伝えてさえいよう。
一つは経済情報であり、インフレが相当昂じてきているにもかかわらず、トルコ政府は改善に向かっていると言い、トルコの経済成長についても、データをごまかして、報じているのではないのか。
外国との貿易についてもしかりであろう。農産物の輸出が増えているとか、関係が改善され巨額の投資が、トルコに向かうことになった、といったたぐいのニュースもしかりだ。そんなことはねつ造された嘘でしかない。
アメリカとトルコとの軍事関係のニュースもしかりであり、シリアのマンビジュからクルドのミリシアYPGが撤退する合意が、アメリカとトルコとの間で出来、YPGは武器を捨てて、マンビジュから出て行くと報じた。
しかし、少し経つと出ていくのは軍事顧問だけであり、部隊ではないとYPGが言い出している。事実はその通りであろう。トルコのエルドアン政権にとっては、事実などはどうでもいいことなのだ。好都合なニュースをねつ造し、発表してしまえば勝ちだ、という発想であろう。
イラクのカンデール山にある、クルドのPKK基地に対する攻撃もしかりだ。脅しをかけ明日にでもトルコ軍による攻撃が、行われるとニュースを繰り返し、そのうちに攻撃を加えるかもしれない。しかし、それは選挙までに、実行されないかもしれない。
エルドアン大統領が唱えた、新たなメガ・プロジェクトの資金は、外国からは借りられないかもしれない。それも打ち上げ花火で終わるのではないか。金利を上げ外国から借りやすくしているが、それでもトルコの経済の危険性を感じた外国は、資金提供し難くなってきているのだ。
周辺諸国との関係でも、問題が山積しており、解決の目途は立っていない。ある時期が来れば、その全てが一気に表面化し、崩れ落ちるかもしれない。いまトルコで進められている各種の計画は、砂の城というか、紙細工の橋のようなものではないのか。
そして一番の安普請は与党AKPそのものであろう。時間はすべての疑問に答えを出す。それが明日かもしれないし、1年後かもしれない。まさにアッラーの知るところであろう。いまのトルコ発のニュースは、信用しないことだ。それがやけどから身を守る、道であろう。