『ISはいまだイラクシリアで活動?』

2018年6月 3日

 IS(ISIL)は未だにイラクやシリアで活動をしているようだ。しかし、それは極めて限られた範囲のものであり、大規模作戦というわけではない。IS(ISIL)の集団が村落を襲い、殺害し略奪をする、という程度のものであるようだ。

 そうは言っても、IS(ISIL)の攻撃により犠牲者は出ているわけであり、つい最近では、イラクのサラーハッデーン県のファルハチアという街で、6月1日にIS(ISIL)の襲撃事件が起こり、12人の市民が殺害されている。

 イラクのアバデイ首相は2017年12月9日に、IS(ISIL)との戦闘は終了したと宣言し、その後7ヶ月して、イラクのモースルもIS(ISIL)の手から奪還した、と勝利宣言している。確かにモースル奪還作戦は、相当激しいものであったようであり、多くのIS(ISIL)の戦闘員と家族が、投降している。

 他方、シリアでもIS(ISIL)の活動が、目立ってきているようだ。ヤズデイの女性と子供が、IS(ISIL)によってさらわれており、シリアの地下牢獄に入れられている、ということだ。ヤズデイのフセイン・カンソウリ氏が語ったところによれば、イラクとの国境に近い、デルズール県のへギーン、ショアファ、バグーズという街で、女性や子供たちはさらわれたようだ。

 2014年8月には300人のヤズデイ女性や、子供がさらわれているが、それはアメリカとフランスの空爆の後に、起こっているのだ。

 北イラクのドホーク県にある、人質専門の機関の語るところによれば、ヤズデイ・クルド人が3500人さらわれている、ということだ。そして、その多くが女性であり子供たちだということだ。

 これらの情報の相当部分は事実であろうが、なにやらパンチが聞いていない感じがする。つまり情報は二番煎じ三番煎じの感じがするのだ。古い情報を引き出してきて、再度それをあたかも昨日起こったように、報じている感じがしてならない。

 その事はイラクでもシリアでも、IS(ISIL)の活動が沈静化しており、世界の耳目を引き難く、なっているからであろうか。こうした報道は外国がイラクやシリア問題に、介入する口実になっているのではないのか。

 アメリカしろイランにしろ、長期間にわたってイラクやシリアに、影響力を維持したいと思っている国にとっては、IS(ISIL)問題が簡単には、解決して欲しくないだろう。それは述べるまでも無く、当事国であるイラクやシリアにとっては、極めて不愉快なことであろう。