トルコの法務大臣アブドルハミト・ギュル氏は、500人のギュルメンバーを釈放し、現職に復帰させた。彼らは軍属であり、官僚、法務関係者だ。彼らは押しなべて、一般からの評判のいい人たちであった、ということだ。
確かに、2016年7月15日に起こったクーデター事件以来、多数の人たちが関与したとして、逮捕され投獄されることとなった。そしていま、裁判を待つ囚人たちは、108905人を超えている。
当然のことながらその結果、軍でも公務でも法務でも、滞りが生じることになった。庶民からは彼らの無罪と復帰を望む声が、大きくなって行った。そうした状況を見て政府は、受刑者の中のクーデターに関与していなかった者たちを、釈放することとなったということだ。
この釈放は先月に始まったようだが、必ずしかるべき理由があろうと思われる。多分に大統領がらみではないかと思われる。ギュレン・グループのメンバーでもいろいろあろう。軽い関与と深い関与とがあろう。そこで軽い関与だと思われる人たちを、釈放することになったのであろう。
そうすることにより、エルドアン大統領の進める厳しいギュレン・グループ対応は、公正なものだという評判を立てることが、期待できよう。
だが、釈放された公務員や軍人、法務関係者が即刻現場で、活発に活躍するだろうか。そして庶民はこの釈放劇を、エルドアン大統領の公正な判断と、受け止めるだろうか。
エルドアン大統領は選挙が近くなり、あらゆる工作をしていることであろう。クルドのHDP党首をデミルタシュの投獄も、実は選挙がらみなのだ。HDPが10パーセント以上の得票をしなければならない、それが取れないと議席はすべて与党に渡ってしまうのだ。
大統領選挙まであと10日だ。選挙の行方はどうなるのか。あらゆることが想定されよう。そこには正義があるとは、考えるべきではなかろう。