『パレスチナこれは本当の抵抗戦争になるのか』

2018年5月30日

 

 パレスチナ人はこれまで何度と無く、現状の打破のために立ち上がってきた。しかし、そのほとんど全ては、国際的政治上の取引のための、仕掛けでしかなかったのではないか。

 パレスチナ大衆はもちろん戦う気だったのであろうが、パレスチナ自治政府は常に頃合いを見て、妥協路線を選択してきている。これだけ抵抗して犠牲者が生まれたのだから、外国からの援助は十分期待できる、という感じがぬぐえない。その繰り返しだったということだ。

 その結果は述べるまでもない。パレスチナ側の出方を十分に学んだイスラエル側は、頃合いを見て攻撃の手を緩め、政治交渉に入ってきていた。そしていつの間にか、ヨルダン川西岸地区の土地の多くが、イスラエルの支配下に置かれることとなり、単なる占領からそれらの土地は、イスラエル領として組み込まれている。

 ガザは何とか持ちこたえているが、パレスチナ自治政府の本拠のあるヨルダン川西岸地区は、既に80パーセントがイスラエルによって支配され、パレスチナ側に残されている土地は20パーセントに過ぎない。

 そして、最近になるとヨルダン川西岸地区から、ほとんどのパレスチナ住民を追い出し、そこはイスラエル領土となるという考えが、真実味を持って語られるようになってきている。パレスチナ住民はヨルダンに追い出されることになるのだ。

 唯一抵抗が継続されているガザ地区では、抵抗運動が継続しており、次第にエスカレートしてきている。ガザからイスラエルへ抜けるテロリスト用のトンネルが何本も掘られ、その度にイスラエル側はそれを発見しては、潰してきていた。

 今回のガザの抵抗にはトンネル作戦に加え、凧作戦が取り入れられた。多数の凧を上げてイスラエル側を、混乱に追い込む作戦だ。そしてその凧には火炎瓶が吊るされるようにもなり、実際的な被害がイスラエル側に、発生するようになった。

 加えて、ガザのハマースなどはドローンを自主開発し、戦いに取り入れているようだ。写真でしか見ていないのだが、なかなかしっかりした造りのようであり、これに爆弾が搭載され、イスラエル側に飛ばされるのであれば、近い将来、大きな被害が発生することになろう。

 臼砲や大砲による攻撃も、ガザからは行われるようになってきた。こうなるとイスラエル側も本格的な報復攻撃をしなければならない。国境を挟んでまさに白兵戦、という状況が起こっているのだ。

 パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長は入院していたため、こうした事態の進展に、何の影響力も行使できない時間が、経過していた。その結果が徹底抗戦をガザのハマースやジハードに決断させているのであろう。