『マハムード・アッバース議長の後任問題』

2018年5月26日

 パレスチナ自治政府内部では、マハムード・アッバース議長の後任人選が、熱くなってきているようだ。確か、マハムード・アッバース議長は85歳前後と高齢なはず、後任問題が話題になっても不思議は無い。

 先日彼が体調を崩し入院したことが、後任問題に火をつけたようだ。ただいまのパレスチナ自治政府の体制は、以前とは異なり、副議長(副大統領)を置いているので、臨時の対応には何の問題もあるまい。

 その副議長には元ナブルス市の市長だった、マハムード・アロウル氏が就任しているが、彼がマハムード・アッバース議長の臨時の、後任として3ヶ月勤め、その間に新たな議長が選出されることになっている。

 マハムード・アロウル氏がすんなり後任になる可能性もあるが、パレスチナ人の間では投獄されているマルワーン・バルグーテイ氏が最も人気が高いと言われている。彼は2000年から2005年に起こった、蜂起の際に逮捕され、殺人犯として三生(3度の生涯)を刑期とされている。つまり終身刑なのだ。

 彼が議長に立候補して当選しても、イスラエル政府は彼を釈放することはありえず、もし議長に選出されれば、刑務所内からパレスチナを、統率することになろう。しかし、それはちょっと考え難い、議事進行、統治が出来るはずがないからだ。

 次いで後任候補には3人の人物の名が、挙がっている。それらは以下の通りだ。

:ジブリール・ラジューブ=ファタハ中央委員会事務局長に昨年選出。治安の担当者を務めていた。

:マージド・ファラジ=和平交渉の中心人物、アメリカ・イスラエル寄りと思われている人物。

:ムハンマド・ダハラーン=元ガザの治安責任者、マハムード・アッバースに反抗し現在はアブダビに亡命。イスラエル・アメリカからの評価は高い。英語ヘブライ語堪能。

 候補者のほとんどは元治安責任者たちであり、彼らはイスラエル側と交渉をした経験を持ち、イスラエル側とすれば交渉しやすい人物たち、ということになる。悪い言い方をすれば、イスラエルと気脈を通じており、一定の信頼をイスラエル側から受けている、ということだ。

 これら以外に著名な人物としては、サエブ・エレカト氏がいるが、彼は肺を移植している。健康に問題ありということだ。また、ナーセル・キドワ氏は元外相であり、国連代表も勤めていた。彼はアラファト議長の甥だ。

 マハムード・アッバース議長が辞任するか死亡した後には、パレスチナ自治政府内部での対立が予想されているが、彼に対する汚職問題も表面化しよう。その辺を解決して彼は議長の座から、降りたいということであろうか。

 カネでもめるのはアラブ世界では、当たり前のことだけに、内部対立が起こるのも、当たり前のようになっている。アラファト議長の死後はパレスチナの幹部たちが、彼の夫人宅に押しかけ、ほとんどの隠し財産を奪った、といわれている。