『トランプ大統領は反イスラエル?』

2018年5月23日

 

 アメリカのトランプ大統領は、イスラエル支持者だというのが、もっぱらの評判だが、どうも疑問が浮かぶ。彼がイスラエル支持者だということの根拠は、彼の義理の息子がユダヤ人だ、ということがひとつであり、イスラエルの首都をエルサレムに移し、テルアビブからエルサレムに、アメリカ大使館を移設したことが、根拠になっているようだ。

 しかし、このイスラエルの首都はエルサレムであると認めたこと。そして、アメリカ大使館をエルサレムに移設したことは、国際的な反発を招き、イスラエルを孤立させる結果となった。加えて、イスラエルは内戦前夜のような状況に、追い込まれることとなっている。

 ガザでもヨルダン川西岸地区でも、パレスチナ人の反対運動が活発化し、毎日デモが起こり、それに対してイスラエルが強硬対応をとるために、犠牲者が出ている。それは世界中から非難を受けうることに、繋がっているのだ。

 アメリカは今の時期に、エルサレムをイスラエルの唯一の首都と認め、しかも大使館を移設する必要があったのか、ということに対する、明確な説明は出来ていない。気まぐれのような結果が、そうさせているのだ。歴代のアメリカ大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認めながらも、具体的な行動には出なかった。

 そこで浮かんでくるのは、アメリカにとってイスラエルが、中東の地域に存在する必要があるのか、ということだ。これまでイスラエルの存在意義は、アメリカの中東における利益を守る、最前線国家という位置づけだった。イスラエルのユダヤ人はその防人、というのが私なりの説明だった。

 しかし、いまではアラブのほとんどの国々が、アメリカの力の前にひれ伏し、イスラエルを必要としなくなっているのではないだろうか。アメリカのイスラエルに対する経済軍事援助は、莫大な額に上ろう。その必要があるのか、と経営者上がりのトランプ大統領が考えても、不思議はあるまい。

 結果として、アメリカのトランプ大統領は、イスラエルを崩壊させる方向に、動き出したということだ。イスラエルを孤立させ、パレスチナ人を激怒させ、衝突を継続させ、それがまたイスラエル非難をもり上げていく、ということだ。

 イラン対応でも、アメリカはイスラエルとサウジアラビアに、戦争をさせ自分では動かないつもりのようだ。アメリカがやっていることは、イスラエルとサウジアラビアに対し、イランの脅威を煽っているだけだ。

 最近、アメリカ政府はイスラエルに対する軍事援助を、10億ドル削減するという決定をしたようだ。イランとの脅威、パレスチナ・シリアとの脅威が、拡大しているなかで、何故アメリカはイスラエルに対する、軍事援助を減らすのか。つじつまが合わないではないか。

 こうしたことが私をして、アメリカのイスラエル見放しという考えに、至らしめているのだ。皆さんはどう考えるだろうか。少し先走りすぎだろうか。