『トランプの考えるパレスチナ・イスラエル問題の解決案』

2018年5月22日

 

 トランプ大統領は新たな中東和平案というか、パレスチナ・イスラエル問題の解決案を打ち出している。それはこれまで中東問題を考えてきた人たちにとっては、想像すらしなかったような案だ。

 つまり、どう考えてもイスラエルはともかくも、パレスチナ側は受け入れられない案だと思えるのだが、トランプ大統領は最高のアイデアだ、と考えているのであろうか。しかし、それはやがて世界的な非難を、浴びるのではないかと思われる。簡単に言えば、あまりにもイスラエルにとって、有利な案だからだ。

 この新案を進めるために、トランプはエジプトやアラブ湾岸諸国などが、国外(パレスチナの外)に居住するパレスチナ人のなかから、現実的な考えができる者を、マハムード・アッバース議長に代わる、新たな指導者に選出することだと言っている。その第一候補はムハンマド・ダハラーンのようだ。

 トランプ大統領は以下のような解決案を発表している。

:ヨルダン川西岸地区の半分とガザ地区をパレスチナの主権下に置く。

:ヨルダン川西岸地区のほとんどの治安をイスラエルが担う。

:ヨルダン川渓谷はイスラエル軍の管轄下に置かれる。

:旧市街を除く東エルサレムはパレスチナ側の支配下に置かれる。

:パレスチナの首都はアブデスとする。

:都市部のモスクはパレスチナとヨルダンの管轄下におかれる。

:ガザはパレスチナ側の支配下に置かれるが、ハマースは武装解除する。

:在外難民などへの補償は、国際機関を新たに設け、その責任下に置かれる。

:イスラエルを国家として承認し、パレスチナはホームランドとして認められる。

 

 このうちのパレスチナ国家の首都を、アブデスとする案は、アラファト時代に出てきていたものであり、そこからはエルサレムのアクサ・モスクなどが見えることで、パレスチナ側に妥協させようとするものだった。

 イスラエルは今回の騒動の中で、ヨルダン川西岸地区の占領地を拡大したが、それがトランプ案ではイスラエルの正式な領土とし、認められるということであろう。

 難民に対する補償問題は、イスラエルではなく国際的責任としている。つまり日本なども応分の出費を、覚悟しなければならないということだ。イスラエルにとっては極めて虫のいい話であろうし、アメリカも責任の多くの部分を、逃れられるということであろう。 日本は人道的見地から、この案にもろ手を挙げて賛成するのであろう。バカらしい限りだ。